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古今集巻第十八 雑歌下 965番
つかさとけて侍りける時よめる
平さだふん
ありはてぬ命まつまのほどばかり憂きことしげくおもはずもがな
司解けて侍りける時詠める
平貞文
在り果てぬ命待つ間の程ばかり憂きこと繁く思はずもがな
役職が解けていた時に詠んだ歌
平貞文
いつまでも生きていられる訳では無い、そんな命が終わるのを待つ間のわずかな時間だけでも、悲しいことを頻繁に思いたくないものだ
「在り果つ」は、いつまでも存在して生きていること。
「在り果てぬ命」は、否定で、いつまでも存在して生きていはいない命のこと。
「程」は、時間の長さ、のことですが、ここでは短い時間としました。
「繁く思ふ」は、頻繁に考えること。
「思はずもがな」は、否定の「ず」、願望の「もがな」を伴って、考えたくないなぁ、です。
仕事が無くなったので厭世的になってはいるが、短い命だから、悲しいことばかり考えていたくはない、という歌です。
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