古今集巻第十四 恋歌四 690番
題しらず
よみ人しらず
君やこむ我やゆかむのいさよひにまきの板戸もささずねにけり
題知らず
詠み人知らず
あなたが来るのか、わたしが行くのかとためらっているうちに、十六夜の今夜は槇の板戸も閉めずに眠ってしまった
「いさよひ」は「ためらい」の意味。「十六夜(いさよひ)」との掛詞です。
「板戸もささず」は板戸も閉めず、の意です。
家にいるので女性の歌だと思います。「我やゆかむ(わたしが行くのか)」と言っていますが、十六夜の夜でもうお月さまが出る頃なのにまだ男性が来ないので、え!?わたしが行かないとだめなの?そんな訳ないよね、と冗談とも皮肉とも取れることを言っています。どうしようと月を見ながら戸惑っているうちに居眠りをしてしまったという、かわいい歌です。
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