古今集巻第十九 雑躰誹諧歌 1012番
題しらず
素性法師
山吹の花色衣ぬしやたれとへどこたへずくちなしにして
山吹の花色衣主や誰問へど答えず梔子(くちなし)にして
山吹の花の色のような黄色い衣の持ち主は誰なのかと、問うても答えない、持ち主はくちなしなので
梔子(くちなし)の花は白ですが、その果実で染めると赤味を帯びた濃い黄色になるそうです。その黄色の衣はくちなしで染めたらしいが、持ち主を聞いても答えないはずだ、口無しだから、という冗談の歌です。
くちなしの花を題材にした文学は知らないですが、渡哲也さんの歌「くちなしの花」は、大日本帝国海軍の宅嶋徳光中尉の手記に「俺が死んだらくちなしの花を飾ってくれる奴が一人」などの記述が元になっているそうです。和歌とどこか通じるものがあるように感じます。
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