古今集巻第十八 雑歌下 966番
みこの宮のたちはきに侍りけるを、宮づかへつかうまつらずとて、とけて侍りける時によめる
みやぢのきよき
筑波嶺の木のともごとに立ちぞよる春のみ山のかげをこひつつ
皇子の宮の帯刀に侍りけるを、宮仕え仕う奉らずとて、解けて侍りける時に詠める
宮道潔興
筑波嶺の木(こ)の元ごとに立ちぞ寄る春の美山の影を恋ひつつ
春宮の帯刀舎人であったのを、宮仕えはしなくてよいと言われ、解任された時に詠んだ歌
宮道潔興
筑波の山の木の下ごとに立ち寄っている、春の美しい山の木陰を恋しく思いながら、つまり春宮の庇護の陰を慕いながら。
「みこの宮」は、皇太子のこと。東宮、春宮(とうぐう)。
「帯刀舎人(たちはきのとねり)」は、貴人が持つ刀を管理する役人。
「筑波嶺」は、茨城県の筑波山。美しく勇壮なものの例えとして、枕詞のように使っているものと思います。
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