古今集 巻四 秋歌上 207番
是貞のみこの家の歌合の歌
とものり
秋風にはつかりがねぞきこゆなるたが玉づさをかけてきつらむ
是貞親王の家の歌合の歌
紀友則
秋風に乗って初雁の鳴き声が聞こえる、誰の手紙を足にかけて北国からやって来たのだろう
「玉づさ」は手紙のことです。この歌は「雁書」とか「雁の使ひ」と呼ばれる伝説をもとにしています。雁は晩秋に北国からやってきて春まで暖かい南で過ごします。前漢の時に北国の匈奴へ使者として訪れた蘇武が騙されて捕らわれになり、亡くなったとになっていたところ、19年後に生存がわかり、その時の漢王が雁の足に蘇武の手紙がついていたと主張して蘇武を救出したという故事が「漢書」の「蘓武伝」にあるそうです。
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