古今集 巻第五 秋歌下 293番
二条の后の春宮(とうぐう)のみやす所と申しける時に、御屏風に竜田川に紅葉ながれたるかたをかけりけるを題にてよめる
そせい
もみぢばのながれてとまるみなとには紅深き波や立つらむ
二条の后が以前に東宮の御息所と呼ばれていた時に、そこの御屏風に竜田川に紅葉が流れている形の絵が描いてあったのを題にして詠んだ歌
素性法師
紅葉の葉が流れてとどまる河口では、深い紅色の波が立ってさぞ美しいだろう
「みなと」は「水門」で、川の合流点や海の河口。流れがぶつかったり淀んだりして、流されてきた紅葉がきれいなのだろうと思います。
二条の后は藤原高子のこと。清和天皇の女御で、もうけた子が生まれてすぐに皇太子となったので、春宮(東宮、皇太子)の御息所(みやすどころ、この場合は母親のこと)と呼ばれていました。この皇太子は後の陽成天皇。
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