古今集巻第十九 雑躰誹諧歌 1014番
七月六日、七夕の心をよみける
藤原かねすけの朝臣
いつしかとまたぐ心を脛にあげてあまのかはらをけふやわたらむ
何時しかと跨ぐ心を脛(はぎ)に上げて天の河原を今日や渡らむ
七夕の前の日の七月六日、七夕の牽牛の心を詠んだ歌
藤原兼輔
牽牛はとにかく早く渡りたい心で裾を膝まで上げて天の河原を一日早い今日にも渡っているだろうか
「いつしか」は、「早く(〜したい)」の意味。「(~できるのは)いつなのか」です。現代と同じ「いつの間にか」という意味もありますが、ここでは「早く〜したい」です。
「またぐ心」は、意味がわかりませんが、「川をまたぎたい気持ち」ととらえました。
「脛(はぎ)」は、「ふくらはぎ」です。
織女に逢いたくてしかたのない牽牛が、今日はまだ六日なのに、裾を持ち上げて必死で川を渡っているかもしれない、という笑い話です。
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