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古今集巻第十七 雑歌上 869番

大納言ふぢはらのくにつねの朝臣、宰相より中納言になりける時、そめぬ袍のあやをおくるとてよめる
近院右のおほいまうちぎみ
色なしと人やみるらむ昔よりふかき心にそめてしものを

大納言藤原国経朝臣、宰相より中納言になりける時、染めぬ袍(うへのきぬ)の綾を送るとて詠める
近院右の大臣
色無しと人や見るらむ昔より深き心に染めてしものを

大納言の藤原国経が、参議から中納言になった時、染めていない上着の絹の綾織りを送ろうと思って詠んだ歌
近院右の大臣(こんいんのみぎのおほいまうちぎみ) 源能有(みなもとのよしあり)
色が染めていないとあなたは見るでしょうか、以前からずっとあなたへの深い気持ちで心は染めているのです

藤原国経は、寛平6年(894)5月5日に中納言になり、源能有(文徳天皇の息子)はお祝いとして、袍(上着)の織物を送ります。おそらく「心は深い気持ちで染めている」と言いたい為に、染めていない綾織物を用意したのだと思います。

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