古今集巻第十五 恋歌五 803番
題しらず
そせい法師
秋の田のいねてふ言もかけなくに何をうしとか人のかるらむ
題知らず
素性法師
飽きたから行ってしまえという言葉をかけたわけでもないのに、何をつらく思ってか、あの人の心は離れていくようだ
「秋の田の去ねてふ言も掛けなくに何を憂しとか人の離るらむ」
「秋の田の」は、稲に掛かる枕詞。
「秋」は「飽き」に通じます。
「いね」は、「去ね(いね)」「稲」の掛詞。「いね」は、立ち去れ、どこかへ行け、という意味、関西弁では少し乱暴な言い方として今も使います。
「かるらむ」は、「離るらむ」と「枯るらむ」「刈るらむ」の掛詞。
秋の田、稲、(稲束を)掛ける、枯る、刈る、は縁語。
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