古今集巻第十四 恋歌四 692番
題しらず
よみ人しらず
月夜よし夜よしと人につげやらばこてふににたり待たずしもあらず
題知らず
詠み人知らず
月夜が良い、良い夜だと人に告げにやったなら、来てくださいと言うのと同じこと、もちろん待っていない訳ではない
「月夜好し(つきよよし)夜好しと(よよしと)人に告げ遣らば(つげやらば)来てふに(こちょうに)似たり待たずしもあらず」
あからさまなことを言わずに、どうやって男性を誘えば家に来てくれるのかを思案して、「月夜がきれいです、良い夜です」と言えば、「来てください」と同じ意味になるんじゃないか、こちらが待っていることも伝わるだろう、という女性の歌です。
「来てふ(こちょう)」は、「来て、と言う」です。
夏目漱石が、日本人男性は女性に「アイラブユー」とは言わない、「月夜がきれいですね」と言えば、そういう意味になると、言ったとか言わないとか。当然、この歌も知っていたと思います。
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