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古今集巻第十四 恋歌四 709番

題しらず

よみ人しらず

玉かづらはふ木あまたになりぬればたえぬ心のうれしげもなし

題知らず
詠み人知らず
美しい蔓草がまとわりつく木は、すぐにたくさん生えてきてしまうように、あなたが立ち寄る女性の家はたくさんあるようですから、わたしへの絶えない気持ちも信じられなくて嬉しくありません

玉は美しいという意味、かづらは蔓草、玉かづら(美しい蔓草)は男性です。「はふ木」は、這う木で蔓草が巻き付く木、蔓草(男)がまとわりつく木はどこかの女性のたとえです。絶えぬ心は、通ってくれる心配りのこと。来ない日が多くなりましたけれど、どこで何をしているのですか、立ち寄るお家がたくさんあるようですね、と女性は悲しく思っています。

この歌は伊勢物語の百十八段にありますから、男性は在原業平なのでしょう。

「むかし男久しく音もせで忘るる心もなし。参り来むと言へりければ 玉かづらはふ木あまたになりぬれば絶えぬ心のうれしげもなし」
昔、男がある女性に対して久しく便りはしないが忘れる心もなかった。訪ねて行きたいと言ってきたので、女性が返事に歌を詠んで送った。

#古今集 , #恋歌四 , #玉蔓 , #伊勢物語 , #在原業平 , #絶えぬ心

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