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古今集巻第八 離別歌 389番

今はこれよりかへりねと、さねがいひけるをりによみける

藤原かねもち

したはれてきにし心の身にしあれば帰るさまには道もしられず

今はもうこれで帰ってくださいと、源実が言った時に詠んだ歌
藤原兼茂
慕う気持ちになってやって来たそういう心のわたしなので、心のまま付いていき、帰る時には来た道もわからなくなるだろう

 源実が筑紫へ行く見送りの時の歌三首の最後です。
 「したはれて」は「慕はれて」。「れ」は助動詞「る」の連用形で、自発(自然にそうなる)の意味。いつも仲良くしてくれているから、お別れの今日は慕わしい気持ちが自然とわき起こって見送りに来たのだ、ということです。
 自発の表現は日本語の特徴で、人の心も本人が全て自覚して表れるのではなく、環境が人をそのように向かせるという自然との一体感のようなものを感じます。

#古今集 , #離別歌 , #源実 , #藤原兼茂

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ちのみゆき
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