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古今集 巻第五 秋歌下 307、308番
題しらず
よみ人しらず
ほにも出でぬ山田をもると藤衣いなばの露にぬれぬ日ぞなき
かれる田におふるひつぢのほに出でぬは世を今更にあきはてぬとか
題しらず
よみ人しらず
穂もまだ出ない山の田を守っていると、粗末な藤の衣も稲葉の露に濡れない日はない
刈った田にまた生えてくるひつぢ(ひこばえ)に穂が出ないのは、世の中をもう今さらと諦めはててしまったからか
稲の穂が出ないというのは、出世の芽が出ないこと。そんな状況でじっとしていることへの焦りや不満の歌のようです。藤の衣は繊維としては強くても粗くてしなやかではないので粗末なものだったそうです。
刈り取り後に、株からまた稲が生えてくるのを今は「ひこばえ」と言いますが、この頃は「ひつぢ」と呼んだようです。それが出てくれば、自分にもまだ芽があるように思えるのに、それさえも出てこない。もう諦めるしかないのか、ということでしょう。「ひこばえ」暖かい地域ならこれをまた育てると実るそうです。
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