古今集巻第十一 恋歌一 535番
題しらず
よみ人しらず
とぶ鳥のこゑもきこえぬ奥山のふかき心を人はしらなむ
題しらず
よみ人しらず
空を飛ぶ鳥の声さえも聞こえない奥山のように、深いわたしの恋心をあの人に知ってもらいたい
上の句は深きにかかる序詞です。山奥の深さは思いの深さとともに、しっかり秘密にしていて誰にも知られることはないということを意味するのでしょう。
「飛ぶ鳥の」は明日香にかかる枕詞です。この場合は枕詞として使っていませんが、故郷の都の懐かしさ、万葉の歌の純朴さ、古から続く時間の長さなどがこの恋に重ねられて、またこの歌を聞いた人もそういう印象を持ったのかもしれません。
終助詞「なむ」は未然形に接続して願望を表します。
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