古今集巻第十九 雑躰誹諧歌 1025番
題しらず
よみ人しらず
ありぬやとこころみがてらあひみねばたはぶれにくきまでぞこひし
き
在りぬやと試みがてら逢ひ見ねば戯ぶれにくきまでぞ恋しき
確かに無事でいられるかどうか、試しに逢うのをやめてみたところ、冗談ではないほど、恋しく思った
「ありぬや」は、「あり(存在する)」+「ぬ(確実にそうなる)」+「や(疑問)」で、「確実に生きているか」という意味です。
「あひみねば」は、動詞「逢い見る、相見る(逢って契る)」+打ち消しの助動詞「ず」の已然形「ね」+原因を表す接続助詞「ば」で、「逢わなかったので」の意味。
恋の巻には、「逢えないと死んでしまう、それぐらい恋しい」というような歌がたくさんありますから、じゃあ本当に逢わないと死ぬのだろうかと、ちょっと馬鹿にして、実際に試してみたら、死ぬほどではないけれど、かなり恋しい気持ちになるものだった、という歌です。
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