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古今集巻第二十 東歌 1097番
甲斐うた
よみ人しらず
甲斐が嶺をさやにも見しがけけれなくよこほりふせるさやの中山
甲斐が嶺(ね)を清(さや)にも見しが心(けけれ)無く、横ほり臥せる小夜(さや)の中山
甲斐の山をはっきりと見たいものだ、でも心無く横たわり臥している小夜の中山だ
駿河(静岡県)の辺りから、甲斐(山梨県)の山々を見たいのに、小夜の中山が邪魔をしてよく見えないなぁ、という歌です。
「さやの中山(小夜、佐夜)」は、静岡県掛川市から島田市金谷町へ行く東海道の峠のことです。根拠はありませんが、掛川から峠を超えて行く時に甲斐の嶺が見えるとよいのにと、よみ人が思ったのかもしれません。甲斐の嶺は、どの山を指すのかわかりませんが、たとえば南アルプスでしょう。
「見しが」の「しが」または「しか」は、願望の終助詞です。「見たいなあ」。逆接の「が」ではありません。
「けけれ(こころ、心)」は、東国の訛り。
「横ほる(よこおる)」は、横になる、横たわる。
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