動物の目から逃れるための秘策
檻の中から手を差し出した者の
動物の目から逃れるための秘策
青い密林を焼く黄色い火を生み出した根源が
君が僕の手を握り返さなかったことの言い訳にすり替えられる
檻の中に敷き詰められた砂利の上で眠るゴリラの
閉じた瞼を無理やり押し上げてみて
確認するまでもないその死の矛先に一粒の光を見る
生きた目はもうこの檻の中から出て行った後だ
明くる日に戻ってくるだろう君の手に目が描かれるが
それは手の甲と手のひらを刺し貫いて
見ることと見られることをひとつに束ねるだろう
朝焼けをもう二度とは見られない君にしか果たせない約束
僕はゴリラの死体の腹に頭を乗せて横たわり
檻の縦格子の太く長く伸びた影に刺し貫かれている
見ることと見られることの放棄に至る長い道程
君の手が檻の向こうから差し延べられて
僕の固く閉じた瞼をその冷たい指先で押し上げたなら
そこにあるのは死という言葉を剥ぎ取られた
たったひとつの外
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