君は南東から現れた
君は南東から現れた
風の人から託されたある偶然性に基づいて
森林の墓石を盗んで海へと譲り渡すために
塩辛い水に浸せば自ずと明らかになる
墓石が渇いた喉を欲していたことに
君は満足の笑みを浮かべ死者を冒涜する
ところで夜が君に告げようとして失敗した
ある出来事を君は記憶の底から引っ張り出せるか
それは故郷の大地の略奪が始まるずっと以前
蚕にした口約束が絹糸の境界線を歪にした
繭の聖地が没落していく凄惨な話だった
全身に包帯を巻いた君には関係のない話か
君が廃墟を歩いて包帯をゆっくりと解いていき
絹糸の境界線を上書きしていくのを
期待していた者たちがいたことは
誰も知る由のない裸体の神秘に過ぎない
遠く遥か彼方にまで犠牲者を運ぶ線路を
犠牲者が敷設していく光景に沈黙することは
黙祷を前もって砂漠の騒音に晒しておくことに等しい
南東の運河から現れた君には関係のない話か
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