岩波少年文庫を全部読む。(146)回想の戦後東京、母を失った少年と小動物たち 舟崎克彦『雨の動物園 私の博物誌』
舟崎克彦の『雨の動物園 私の博物誌』(1974)は、少年時代を16篇の断章で振り返った回想録です。
1950年代の池袋
各断章は10-20頁。断章の題は「コジュケイ」「ウグイス」「ヒバリ」「カッコウ」「モズ」「ヤマガラ」「カルガモ」「十姉妹・錦華鳥」「エナガ」、半分以上が鳥の種類名です。これに「鳥かごの家族たち」というのが加わる。
それ以外の題名はというと、「ヒキガエル」「コウモリ」「トカゲとヤモリ」「犬」「モグラ」「リス」。すべて動物、それもほとんどが小動物ということになります。
で、これが、池袋界隈に住んでいた少年期の作者にとって、すべて身近な存在だったというんですよね。
1950年代の池袋周辺、まだ田園の面影があったってことなんでしょうねえ。
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