「神像が盗まれる」イコール「敗戦」 小林登志子『古代オリエントの神々 文明の興亡と宗教の起源』
(おととしこの本が刊行された半年後に、読んで勢いで書いたメモです)
岡田明子先生と共著で『シュメル神話の世界 粘土板に刻まれた最古のロマン』を書かれた小林登志子先生が同じ中公新書から先日(2019年1月)出された『古代オリエントの神々 文明の興亡と宗教の起源』がイイ!
こっちを先に読むほうが見通しもよくなるだろうなあ。僕の学生時代にこういう本があったらよかった。
4章7節のマルドゥク像の争奪と8節のアッシュル市の字義どおりの神格化の話がおもしろい。
「神像が盗まれるイコール敗戦」とか、「盗んだ側も神像を大事にする」(原理主義の仏像破壊とは違う)という話で思い出した。叙事詩環でトロイア敗因のひとつが、アテナ像(クソアノン、パラディオン)を盗まれたこと、とされていた。
でもアテナはパリスの審判の恨みで敵方ギリシア勢を応援してなかった?
小林先生のインタヴューより。
古代オリエント史を専門にしても、仕事は得られないと、若い頃に指導教授にいわれました。同時に好きならば、勉強を続ければ良いともいわれました。
それで、一生続けました。楽ではありませんでした。ですが、反省することはあるにせよ、後悔することなく面白い人生を送ることができたように思います。
西洋+中東の文学のルーツを垣間見たい人にもぜひ。
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