発達心理学から考えるgiveの仕組み
どもども。青木です。
さて、前回は人類学より、互酬的行動について書きました。
今回は発達心理学分野から考えるgiveの話、ということで一筆啓上したいと思います。
発達心理学分野では誰かのためになることを自発的にすることを「向社会的行動」と呼びます。この「向社会的行動」には援助行動(A:サポートする側、B:サポートを受ける側 Bさんの行動をAさんがサポートしてあげる)、分与行動(Aさんは自分のものをBさんに分けてあげた)、寄付行動(Aさんは自分のものをBさんにあげた)などがあります。
さて、どこかで見覚えがありますね…?
向社会的行動は人類学でいうところの互酬性にあたります。
一見同じように見えますが学問上異なることなので私は丁寧に見ていくようにしています。
というのも、人類学は「人は伝統的社会(自然状態で作っていた社会)をどう構築・維持していたのか」という研究で今の人の生活のベースとなる「動物としてのヒト」の側面を探求する学問です。
一方で心理学は「人の行動は何を動機としてどんな仕組みで起こるのか」というものだと理解しています。
この向社会的行動が起こるためには次の3つのステップがあるといいます(Eisenberg, 2005)。
1. 他者の要求への注目
他者の要求に関する状況を解釈し、他者の要求に気づく仮定を行うこと。
2. 「動機づけと助力の意図」
要求に気づいてから助けるかどうかを決意するまでの過程。その人を助けられるかどうかの判断、その人との関係性やその人がどういった原因でそうなったのかなどを考慮し、助けるための行動計画を考えるステップ。
3. 「意図と行動のリンク」
助けるかどうかの意思決定が行為に移される過程、および行為の結果がフィードバックされる過程。助けてみて、「ありがとう」と言われるか「余計なことを」と拒絶されるかなどは次の「2」に影響するわけです。さらに、拒絶されてしまった場合は「そんなつもりでは…」と意図を説明するなどの自己防衛が必要となります。
ということでザクッとまとめると人にgiveをする仕組みとしては
1. 誰かが助けを求めていることに気づく
2. 助けられるか、また助けるかどうか考える
3. 助けた場合、その結果を受ける。
というステップで起こります。
こうみると誰かにgiveをたくさんするためには「誰かのhelpに気づくこと」と「助けられることのレパートリーを増やすこと」なわけですね。
ということでご紹介でした!
カバー写真はワンコにgiveしようとしているにゃんこの図です!笑