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理論から考えるコミュニティ設計 2. コミュニティの拡大限界

こんにちは。funky jumpの青木です。

前回は向社会的行動の説明を行いました。今回のお題はコミュニティの拡大限界です。向社会的行動の理解が前提となりますので、前回のnoteをご覧になっていない場合はぜひお読みください。

1. 向社会的行動の流通圏がコミュニティの拡大限界

向社会的行動の流通圏=コミュニティの拡大限界です。向社会的行動がなされない関係はコミュニティといえません(後述するオーディエンスといいます)。前回向社会的行動の設計がコミュニティを育てるという副題をつけました。例として趣味で繋がるオンラインコミュニティを挙げます。

こちらの麻布十番探検隊、というfacebookグループでは4年前から運用されており、合計メンバーは13000人。1週間前から+46人。1日10~20件ほどの投稿がなされています。かなり大きなグループです。

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このグループでは主に麻布十番エリアの飲食店や小売店の情報をシェアするグループです。お店へのネガティブな情報は管理人によって削除されます。

ここで設計されている向社会的行動は麻布十番エリアの飲食店や小売店の情報をポジティブにシェアすることです。グループの存在意義とこのグループで行われる行動が同一のものとして設計されています。ここでどんな反応をすればいいかというと「いいね!」を押す、「素敵ですね!」「情報ありがとうございます!」「今度行ってみます!」とコメントすることです。極めてシンプルです。

2. コミュニティの参加者とオーディエンス

ではこのグループはコミュニティと呼べるかというと否です。グループの中でコミュニティに参加している人とオーディエンス(見る専門)の人が別れています。向社会的行動の流通圏がコミュニティであると先述しました。この考え方は下記です。

コミュニティに参加している人:
投稿をする人、いいね!を押す人、コメントをする人。

オーディエンス:
本当にタイムラインを眺めるだけの人

と分けられます。13,000人の人がグループに入っているわけですがほとんどはオーディエンスです。

ここで注目したいのはコミュニティに参加している人とオーディエンスの境界の曖昧さです。コミュニティに参加している人であっても投稿・反応をしない期間はあります。オーディエンスであっても期間を広げればコミュニティに参加している人になるタイミングもあります。

こういった曖昧さの中でもオーディエンス→コミュニティに参加している人へ移行する人を増やす、移行する頻度を増やすことでよりコミュニティは盛り上がっていきます。端的には向社会的行動の流通量が増えます。

3. コミュニティの拡大限界を広げていくための理論 -互酬性と衡平性-

コミュニティの拡大限界を決めるのは向社会的行動の流通圏です。では経済圏を広げるために活用可能な理論。それが互酬性と衡平理論です。

 互酬性とは人と人との間で贈答・交換が成立する際に返礼が期待される性質です。

 衡平理論とは対人関係において「お互い様状態」であるときにバランスが取れており、どちらかが与えすぎている感覚、またはもらいすぎている感覚を得ているときは苦悩状態となるものです。

 衡平理論は二者間ではなく全体的な関係で帳尻を合わせて衡平を維持しようとします(全体的衡平性)。例えると、自分がお世話になっている先輩自身へ何か返すものがなくても、先輩の子供に勉強を教えてあげる、といったことです。この場合「自分」は先輩に対してtakeが超過していますが、子供に対してはgiveが超過しています。この帳尻が合っていればネットワーク全体で衡平が維持されている状態です。

  ※ちなみに全体的衡平性は英語で equity with the worldといいます。かっこいいですね。

4. コミュニティの拡大限界を広げるためにできること

 これらの理論を活用すると、下記のようにコミュニティを設計することになります。
 ①コミュニティ内でのgive(歓迎される行動、giveされた側が喜ぶ行動)を定義する
 ②コミュニティ運営者が主体的にgiveを行い、コミュニティの参加者に対してtake超過(だと参加者が感じている)の状態を作る
 ③コミュニティ運営者がtake超過の参加者からgiveを受け取らないor返済不可能な数・量のgiveを行う
 ④コミュニティの参加者は運営者へ返済ができないため他のコミュニティ参加者やオーディエンスに対してgiveを行い始める


ということで今回はここまで。次回はコラボレーションのプロセスについて書きます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

funky jumpでは"第二の場所"であるオフィスにおけるコミュニティ形成、運営チームの組成などを行っております。お気軽にお問い合わせください。

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