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戸来村とナニャドヤラ

旧南部藩の所領、宮城県北部から
岩手県、青森県、秋田県の一部で
今も踊られている変わった盆踊りの
節回しです。

「ナニャドヤラーナニャドサレノ」

一見すると呪文のようで意味が
分かりません。
件の戸来村の「キリスト祭」でも
踊られています。

ヘブライ語に訳すと意味が通じる
という説もあります。
「汝の御名を褒め称えん。賊を掃討し
汝の御名を褒め称えん」という意味に
なるそうです。

また、単に当該地域の方言である、
という説もあります。
こちらの方が現実的だと思います。

私は東北出身なので、青森の方言が
理解できます。自分なりに解釈して
みました。

まず「ナニャドヤラ」です。
「ナ」は青森の方言で「あなた」の
ことです(汝の”ナ“ではないでしょうか)
自分のことは「ワ」です。
(我、私の”ワ“でしょう)
私とあなたは「ワドナ」です。

次に「ニャ」。~には、~においては
という意味です。
「ニャ」は、方言では頻繁に出て来ます。

「ド」は、どういう事でも、どうにでも
「どこ」という意味もあります。
「どこに行くんですか?」は、
「ドサイグ?」となります。

最後の「ヤラ」はやれ、やりなさい。

続けると「あなたにおいては
どうにでもおやりなさい」と
なります。

次のフレーズ、「ナニャドサレノ」
は、「ナニャド」までは同じです。
「サレ」は尊敬語「される」でしょう。
「ノ」は詠嘆の終助詞。
「○○だのぅ」ということです。

この二つのフレーズは歌詞なので、
リフレインだと考えられます。

合わせて訳すと
「あなたにおいては、どうにでも
おやりなさい。あなたにおいては
どうにでもおやりなさいよ。」
となります。

これは民俗学者柳田国男によれば、
江戸時代の農民が圧政にあえぎ、
「もう、どうにでもしてくれ」
と言っている哀歌なのだとか。

また別の説では「どうにでもして」
という男女間の艶唄だというもの
もあります。こちらは俗説でしょう。

いずれにしても現代にこの地域に
住んでいる人でさえ、由来のよく
分からない歌詞なのです。

私としてはヘブライ語訳に惹かれる
ものがありますが。

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