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出版権消滅請求について
𝕏(旧Twitter)にて河野冬樹弁護士の、出版権消滅請求についてのとても貴重な連続投稿がありましたので、転載して周知させていただきます。
作家でも知らない人が、多いんですよね。
先日の勉強会でもいったのだけど、出版義務に基づく催告やそれに従わない場合の作家側からの出版権消滅請求っていう制度は、もっと活用されてもいいし、そういう制度の存在はお互い認識しとくべきで、その活用のために何ができるのか、ということを考えてみる必要があると思ってます。
— 弁護士 河野冬樹 (@kawano_lawyer) November 28, 2024
先日の勉強会でもいったのだけど、出版義務に基づく催告やそれに従わない場合の作家側からの出版権消滅請求っていう制度は、もっと活用されてもいいし、そういう制度の存在はお互い認識しとくべきで、その活用のために何ができるのか、ということを考えてみる必要があると思ってます。
①消滅と無効の違いは
出版権消滅請求とは、出版社と結んだ契約を、消滅させる請求のことです。
そのまんまですね。
重要なのは、契約を無効にするのではなく、消滅させるということ。
消滅と無効の違い、わかりますか?
例えば、作家と出版社が出版契約を結び、どちらかから申し出ない限り三年ごとに契約は自動更新……という内容であったとします。
更新日をすっかり忘れていて、3年契約の更新が自動で延長されたので、契約を解除するには3年後まで待たないといけない……と思っている作家も多いでしょうけれども、そうではありません。
制度の中身としては、出版社が、著者の本をいわゆる品切重版未定状態のままにして、著者から請求を受けたのに3か月以内に書籍が入手可能な状態にしなかった場合、著者は、出版権を消滅させることができる(他の出版社に原稿を持ち込んでもよくなる)というものです。
— 弁護士 河野冬樹 (@kawano_lawyer) November 28, 2024
制度の中身としては、出版社が、著者の本をいわゆる品切重版未定状態のままにして、著者から請求を受けたのに3か月以内に書籍が入手可能な状態にしなかった場合、著者は、出版権を消滅させることができる(他の出版社に原稿を持ち込んでもよくなる)というものです。
②契約より実態を重視
三年間、重版がかからなければ、出版継続の意思が出版社側にないと見なされ、自動更新していても途中で破棄できるのが、業界の慣例なのです。
契約よりも、実態が重視されるのですね。
ただし、河野弁護士の上記リプライにあるように、作家が申し込んで、出版社が三ヶ月以内に重版をかければ、契約は続行です。
この場合は消滅にならないし、無効にもならないです。重版がかかっているのに、契約を無効にはできません。
行使しない理由はいくつか考えられるけど、一番は引き上げたとしてどうするのか? という問題で、ある出版社が重版しても売れないだろうと思っている本が他から出せば売れるのか、というと普通は難しいように思うし、そもそも書店の注文も見込めないでしょう。
— 弁護士 河野冬樹 (@kawano_lawyer) November 28, 2024
行使しない理由はいくつか考えられるけど、一番は引き上げたとしてどうするのか? という問題で、ある出版社が重版しても売れないだろうと思っている本が他から出せば売れるのか、というと普通は難しいように思うし、そもそも書店の注文も見込めないでしょう。
③自費出版という方法も
他社に持ち込む当てもないので、そのまま放置――という作家も多いでしょうけれど。
出版社の重版は、数千部とかが基本ですから、500冊とかレベルの需要を、すくい取ることは難しいです。
自分で本を印刷して、自費出版するのは、費用も時間もかかり、専門知識も必要で、ハードルも高そうです。
しかし現在は、作家が自分で本を作り、AmazonやDMMで販売できる時代です。
そのため、今までであれば出版社ともめて重版しないような場合くらいしか使いどころが考えにくかったし、そもそもそういう場合だったら出版社だってわざわざ契約を残そうとする理由もないから、わざわざ法的に消滅請求するまでもなく解除して終わりになるのが普通でしょう。
— 弁護士 河野冬樹 (@kawano_lawyer) November 28, 2024
そのため、今までであれば出版社ともめて重版しないような場合くらいしか使いどころが考えにくかったし、そもそもそういう場合だったら出版社だってわざわざ契約を残そうとする理由もないから、わざわざ法的に消滅請求するまでもなく解除して終わりになるのが普通でしょう。
④AmazonのPODも選択肢
DTP(デスクトップ・パブリッシング=パソコンで本を作るデジタルな作業)は編集プロダクションに仕事を投げられますし、作家自身が学んでも、身につきます。
帆風などが、AdobeのDTP三種の神器Photoshop・Illustrator・InDesignを学ぶ講座も、あります。作家本人には時間がなくても、奥さんや親族が学んで、身につけた例もあります。
しかも、Amazonではプリント・オン・デマンド出版にも対応し、自分で本を印刷しなくても、1冊からAmazonが印刷し、購入者に届けてくれます。
お値段は高めになりますが、紙の本が簡単に出せる時代です。
ただ、時代も変わり、他の出版社に持ち込んで商業出版する、というだけが発表のルートというわけでもなくなってきてるので、例えば出版権引き上げて文学フリマやコミケで売る、といったことをする作家さんが出ても面白いんじゃなかと個人的には思います。
— 弁護士 河野冬樹 (@kawano_lawyer) November 28, 2024
ただ、時代も変わり、他の出版社に持ち込んで商業出版する、というだけが発表のルートというわけでもなくなってきてるので、例えば出版権引き上げて文学フリマやコミケで売る、といったことをする作家さんが出ても面白いんじゃなかと個人的には思います。
⑤個人出版の時代へ
MANZEMI講座の出版部門である春由舎では、漫画や画集、書籍を発売しています。
作家さんの依頼で製版作業を請け負ったり、自己出版のためのレクチャーを、することもあります。
需要があるなら、作家のためのDTP講座を開きたいところですが。
漫画や画集は、ややハードルが高いですが、小説や評論集、エッセイ集だとセルフ出版のハードルは、かなり低くなります。
学んで損はないかと。
それとこの話した勉強会の動画ですが、近日中にYoutubeチャンネルで公開予定です。よろしければこちらのチャンネル予め登録しておいていただければ幸いです。https://t.co/RmohZW1HPy
— 弁護士 河野冬樹 (@kawano_lawyer) November 28, 2024
それとこの話した勉強会の動画ですが、近日中にYoutubeチャンネルで公開予定です。よろしければこちらのチャンネル予め登録しておいていただければ幸いです。
以下は諸々、個人的なお知らせです。読み飛ばしていただいても構いません。
筆者の小説(電子書籍版)でございます。お買い上げいただければうれしゅうございます。
文章読本……っぽいものです。POD版もあります。
筆者がカバーデザイン(装幀)を担当した、叶精作先生の画集です。POD版もあります。
投げ銭も、お気に入りましたらどうぞ。
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