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「○○しちゃいけない」と言う編集者

X(旧Twitter)に、洋介犬先生のこんなポストが流れてきました。
編集者は作家に対して、あれをしてはいけない・これをしてはいけないと言いがちな存在です。

これは僕も経験あるのですが
志望者・新人時代に編集さんから「○○しちゃいけない」を言われすぎて、表現の幅が広げられなくなってしまった方がけっこういらっしゃるようです。

僕はこれもイップスでは?と前から思っています。

https://x.com/yohsuken/status/1871045427673661927

ただこれはある意味で当然、作家は創作するプロではあっても、法律とか本業が弁護士でもない限り、詳しくはありませんから。
差別として裁判になり、すでに判例が出ているような事象とか、レクチャーするのは、当然です。


①レクチャーか保身か

でも、明確な問題がある事象に対して、世の中にはグレーゾーンと呼ばれる、曖昧な部分があるわけです。白黒ハッキリつかない世界。それは50%グレーの場合もあれば、75%グレーの場合もあります。ところが 編集者の中には、例え1%グレーでも問題になりそうな内容は避ける、というタイプがいます。もちろん作家を守るためではなく、自分自身の保身のため。しょせんは宮仕え、サラリーマンですから。

もちろん編集者自身の性格もあるでしょうけれど、そのような保身に走る編集者というのは、上司が責任を取らないから、防衛策として地雷を絶対に踏まないようにする、という面があります。本来は、編集長が責了し責了印を押した作品は、編集長が責任を取るべきものであって、そこができないトップに当たったら、尖った作品は作れない面があります。

ただ編集さんの言い分も分かる面があって、とかく乱れててワンダーな志望者をプロとして仕立てるのにはある程度の制御が必要なことも多いです。
ですが、そのせいで「完成度は高いけど面白くない」ものも出来上がりやすくて、自由度と完成度のバランスってホント難しいな…とも。

https://x.com/yohsuken/status/1871045859603038227

②リスクとリターンと

サラリーマンの処世術として、減点方式に引っかからず、失点も加点もなく、無難にやり過ごすのが大事と、思っているタイプがいます。
休まず・怠けず・働かず、お役所の役人や大手企業のサラリーマンはそれで良いのですが……。

創作──作品作りは、過去にない新しいものを生み出す作業ですから、リスクを取ってリターンを得る仕事でもあります。ハイリスク・ハイリターンが当然です。
ローリスク・ハイリターンなものって、世の中にはそうそう ありませんから。

でも、世の中にはノーリスク・ハイリターンを要求してくるタイプの編集者もいます。
そんな作品に見合った、原稿料や印税率というリターンはないのに。
だから担当編集者も、共にリスクを負って創作するに足るタイプか、八方美人の保身タイプで見切りどきなのか、判断する基準のひとつになるでしょう。

③心の裏の裏をえぐる

「〇〇しちゃいけない」
と編集者言われて、
「それ以外は何をやってもいいんですか?」
と聞き返すのが、作家にとっては大事なポイントでしょうね。

「それでいいですよ」
と言うタイプの編集者と、ゴニョゴニョ とあれこれ言い訳した挙げ句に、ついには
「〇〇しか許さない」
と、語るに落ちる編集者がいます。

「〇〇しちゃいけない」という言葉の裏に、その編集者の本質が隠されています。
・禁止されたこと以外は、全部やってもいい
・許されたこと以外は、全部やってはダメ

作家はここを見極めないと、素晴らしい編集を見逃すことも、ダメ編集に人生を預けてしまうことも、両方ありえるので。
若人の、何か参考になれば幸いです。


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篁千夏
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