電子書籍は作家にとってありがたい、という話
ギリ重版がかからず、在庫もなくなった印刷書籍の作品は、古書店で売買されても1円も作家の懐には入ってきませんが。
電子書籍だと、細々と売れた本の印税が半年に一度、振り込まれますから。
電子書籍を無駄に敵視する人がいますが、作家にとってはありがたい存在です。
①電子書籍のメリット
ギリギリ重版がかからず、在庫もなくなった印刷書籍の作品は、古書店で売買されても、作家の懐には1円も入ってきません。
ところが電子書籍だと、細々と売れた本の印税が半年に一度とか数ヶ月に1度、振り込まれますから。
電子書籍を無駄に敵視する人がいますが、作家にとってはありがたい存在なのです。
また本好きな人ほど、数千冊の本に自宅のスペースを圧迫してしまいますから。ところがタブレット型1台に1TBの外部記憶用のメモリを装着すると、1万冊近くが簡単に収納できるのは、むしろありがたい話です。
またAmazonの場合は個人出版で印税率35%、Amazon限定なら70%の印税が入ってきますから。Kindleインディーズで7000万円稼いだぬこー様ちゃんさんや、月に3桁万円の印税に到達した作家の話も、聞き及んでいます。
興味がある方は、コチラのnoteをどうぞ。
②古書と絶版本の変化
自分が上京した頃は、東京の大型古書店で手塚治虫先生の『新寶島』が、数10万円の値段で売られていました。
藤子不二雄先生や宮崎駿監督も愛読した、その伝説の名著。
ところが今は、電子書籍で購入できるのですから。
文化の継承ということを考えても、そちらの方が有益だと思うのです。
作家にとって大事なことは、紙の本を買って取っておいてくれることよりも、作品を買って読んで感動してくれることですから。
また、電子書籍によって、絶版という概念が変化しつつあります。
例えばSNSでバズって、でも紙の単行本が全部、絶版や在庫なし・重版予定なしになっていて、という例はあります。
でも電子書籍が出ていたため、思わぬ ボーナスになった作家の話も、聞き及んでいます。
③割引セールのメリット
電子書籍の場合、出版がかなり昔で動きがなくなった作品を、セールで半額とか、場合によっては80%オフなど、大胆な価格設定ができるメリットがあります。
個人で出版する作家も、確実に増えています。
またそうやってセールされた作品が、売上 ランキングに入ってきていますから、おそらく数百万かそれ以上の印税が、作家に発生していると推測可能です。
再販制度に縛られた印刷書籍では、これはほぼ不可能ですから。
初期の価格設定の是非はともかくとして、そのような形での柔軟な価格での販売が可能である点に、留意が必要かと思います。
④電子書籍のデメリット
ただ、電子書籍は配信している会社が倒産したり、契約を打ち切られて出版されなくなると、せっかく購入した本が読めなくなるという不安を、持つ人がいます。
その不安も、むしろ出版社のデジタル化が進めば、電子書籍とプリント・オン・デマンド(POD)版の両方がリリースされ、どうしても印刷書籍で欲しい本は、手元に残すことが可能になるでしょう。
また、あくまでも 一つの案ですが。
会社が倒産したりサービス停止した場合、いったん電子書籍のデータを文化庁に移管し、国立国会図書館などでデータ管理し、購入した作品の再ダウンロードに対応するなど、文化保護の面で対応を考える必要はあるかもしれません。
ここらへんの対策は、赤松先生に期待です。
また、書店消滅地域に対する救済案は、コチラのnoteを参照してください。
⑤PODの時代が到来?
出版社が制作したデータは、レコードの原盤権と同じで、出版社の財産ですから。それは、現在の書籍の版下でも同じです。
なので将来的には、著者自身がデータを買い取る必要が、出てくるでしょう。
ただ、レコードの原盤権のように、価格が高騰して、買い戻しが無理な場合もあるでしょう。なのでMANZEMIでは、作家自身が出版用のデータを制作できるように、必要な方には技術を教えています。
この実践として、MANZEMI講座の出版部門である春由舎では、POD版で臼井俊介先生のフルカラー画集を出版しています。
昔だったら、フルカラー画集を出せるのは、一握りの超売れっ子だけでした。ところが今は、個人がリスクを負わず、フルカラーの画集が出せる時代です。
⑥POD版は意外に安い
日本で折り紙 が発達したのは、早い時代から安くて高品質な紙が、比較的容易に入手できたから、とか。
西洋で生まれた模造紙も、何を模造しているかといえば、和紙を模造したから、模造紙なんだとか。
日本は百万塔陀羅尼経の昔から、印刷が行われていた国ですから。
実は紙代は比較的安価で、印刷・製本は、思ったよりも安価にできます。
むしろ現代は、流通費のほうが、価格を圧迫している面も。
でも、電子書籍は全国津々浦々、僻地でも離島でも、通算環境があれば、購入可能ですから。
電子書籍のマイナス面だけでなく、こういうプラス面も評価したいですね。
⑦新刊を出すのは何処?
芦辺拓先生から、こんなご指摘も受けました。
その麺はあるかもしれませんが、それはそれで新人育成の芽が、摘まれませんかね?
売れるかどうか解らない新人作家を、抜擢するリスクは避けるようになり。実績のある中堅ベテラン頼みになる訳で。
結果的に、『小説家になろう』や『カクヨム』や『アルファポリス』などの投稿サイトで、読者が支持した投稿者に、出版社が群がることに。
それはもう、出版事業者ではあっても、文化の担い手とは呼べないような……。もちろん、だからこそMANZEMI講座のような作家育成講座が、需要があるのかもしれませんが。
以下は諸々、個人的なお知らせです。読み飛ばしていただいても構いません。
筆者の小説(電子書籍版)でございます。お買い上げいただければうれしゅうございます。
文章読本……っぽいものです。POD版もあります。
筆者がカバーデザイン(装幀)を担当した、叶精作先生の画集です。POD版もあります。
投げ銭も、お気に入りましたらどうぞ。