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創作と投資運用と
ゴールデンウィーク中、こちらのX(旧Twitter)のポストが、大炎上していました。三田紀房先生の『インベスターZ』の切り抜きポストなのですが、本来の意図というか目的とは別に、映画の鑑賞方法の議論や、作品鑑賞論にまで、飛び火しているようです。個人的には、つまらない映画は途中で出て損切りする、という部分への意見は色々あるでしょうから、そこの善悪・優劣の判断は脇に置いて。時間が経って整理できたことや、思ったことをつらつらと。
【お金を払ったからといって、つまらない映画を最後まで観る必要はない。途中でやめる「損切り力」を身につけようって話。】1/5 pic.twitter.com/5Wv8cDbdH9
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【お金を払ったからといって、つまらない映画を最後まで観る必要はない。途中でやめる「損切り力」を身につけようって話。】1/5
①創作と投資運用の相性
そもそもこの切り抜き漫画、クリエイター側には、自作もつまらないなら損切りされるように思え。また同じく映画など創作物のファンには、最後に感動を覚えた自分の経験を、否定するように思え。
「いや、そこは論点ではないので、本編を最後まで読んでいただければわかります」と、ポスト主は言うかもしれませんが。
損切り推奨のようなことを言ってるため、この切り抜き部分を読んで、本編は読む必要はないと損切りされても、文句は言えないという、自縄自縛に陥る構造になっていますね。
創作と、投資や運用の話は、本質的に異なると思います。ある意味で、最も相性が悪いかもしれません。
②無駄こそが創作の養分
例えば、東大に合格するため、高校にはいかず、受験教科に関係ない科目──音楽や美術や体育などの教科を学ぶ時間に、ひたすら受験科目だけを勉強し、大検で受験すれば、合格する可能性は高まるでしょう。
実際、そうやって東大や京大に合格し、テレビドラマ化された方もいます。
効率という点で、そこは否定しません。医者や大学教授に、なられているのですから。
でも、実際の人生では、その無駄なはずの音楽や美術やスポーツが、どれほど豊かにしてくれるか……。
また、高校という集団生活での経験や、友人との出会い、別れ、葛藤が、得難い人生経験になる人もいるでしょう。高校の修学旅行に行けなかった人が、その話題が出たときに和に加われない寂しさを味わうように。
③生きるには不要なもの
そして、小説や漫画やアニメや映画などの創作物は、そういう受験には無駄かもしれない経験が、創る側にも受け手の側にも、必要です。
その部分を否定されたように感じて、反発する人が多いのでしょうね。
繰り返しますが、そこの善悪・優劣の判断は脇に置いて。
音楽や美術やスポーツ、あるいは教養、小説や漫画やアニメや映画などを、全部ひっくるめて文化と呼ぶわけですが。
古文漢文の授業は教員の雇用のためにあるだけで無駄だと語る方は多いですが。でも、人類はその、生きるためには必要ないものを、それこそアルタミラ洞窟やラスコー洞窟の壁画の昔から、生み出してきました。
人はパンのみにて生きるに非ず。
④岩崎弥太郎と福沢諭吉
お金は大事。
これもまた、否定しません。文化を回していくのには、絶対に必要なものですから。チャップリンも、人生に必要なのは、愛と勇気と少しのお金だと、お金自体は否定していません。
でも、文化を回していくという目的が失われ、お金を儲けることだけが自己目的化してしまったら、そこには何が残るのか?
お金を儲けることの先にある目的のことを、志(こころざし)と呼びます。
若き日の岩崎弥太郎が福沢諭吉に、自分は日本一の金持ちになりたいと語ったところ、諭吉は人を育てたいと語ったとか。実際、福沢は慶應義塾を造り、人材を育てました。
後年、岩崎は福沢のほうが正しかったと語ったとか。
三菱グループという、世界レベルの大企業を創り上げた岩崎の功績は大きいですが、そこに儲けたカネで何をするかの志が必要ではないかと。
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