アニメ『天穂のサクナヒメ』最終回
Netflixで視聴組なので、世間とはズレていますが。
コチラの最終回も『ラーメン赤猫』同様に、素晴らしかったです。
個人的な雑感を、ダラダラと書いてみます。
本作は、ゲーム原作。ほとんどゲームをやらないので、発表当時話題になったのは覚えていたのですが、農林水産省のサイトが、ゲーム攻略のためにアクセスが集中したという、意外な話題としてでした。それが4年の時を経て、アニメ化。かなり少人数で作ったゲームが、アニメになるのですから、ゲーム業界も成熟してきて、制作にお金もマンパワーもかかる作品以外でも、裾野が広がっているのだなと、思ったりします。そしてアニメは、信頼と実績のP.A.WORKSでしたし。内容はもう、大満足。
本作は、稲作と日本神話が融合した、ファンタジーで。文化風俗的には、室町時代ぐらいの設定でしょうか? それぞれのキャラクターデザインも良く、しっかりとしたストーリー。物語としては、貴種流離譚と呼ばれる、王道の展開です。そもそも、素戔嗚尊による高天原追放と、出雲での八岐の大蛇退治の物語自体が、典型的な貴種流離譚であり、英雄によるドラゴン退治の物語ですからね。それを、可愛らしい女神が行う。『キャプテン』や『ドカベン』の王道スポ根の骨格に、女子高生の戦車道という意外性を被せた『ガールズ&パンツァー』と、構造は同じです。
王道の構造に、よく練られた展開と、物語を盛り上げる仕掛けやギミック。仲間たちの配置も、教科書にしたいぐらいによくできていました。個々のキャラクターの背景と物語を与え、それぞれが主役になる回を配し、でも主人公の目的は忘れずに、前へ進める。ものぐさで怠惰な酔っ払いのサクナヒメが、人間的に成長する部分が描かれ、これほど王道の展開でありながら、でも陳腐にならず。笑わせて泣かせて、盛りだくさんの内容でした。途中でUFOが登場したりで、SFっぽさもあり。大空直美さんのダミ声や、ココロアヒメの不気味な笑いとか、ツボを押さえた演出も、最高でしたね。さらに本作、音楽も力が入っていて。
いきものがかりが歌うオープニング曲『晴々!』は、明るき元気な、伸びやかな曲。Little Glee Monsterによるエンディング曲『ORIGAMI』はスローバラード系のしっとりとした曲で、両曲ともアニメーションとの相性も抜群で。そして、ゲームのエンディング曲『ヤナト田植唄・巫 ―かみなぎ―』は最終回にも流れましたが、これはアニメの田植え歌という枠を超え、令和の祝詞《のりと》が生まれたのではないかと、感動する名曲で。アニメ放映中も今も、仕事中に聞いています。〔紙も人も栄えよ 永久(とこしえ)に〕の部分で、毎回鳥肌が立ちます。
そして、𝕏(旧Twitter)の天穂のサクナヒメ公式アカウントの、ポストに添付された画像。これは、アニメ第二期の可能性を、示唆しているということでしょうか? ひょっとしたら、ゲームの新作が発売され、その後にアニメ第二期の動きとか? 流れからすれば、4年もかかったプロジェクトですから、それぐらいの計画は、事前にあったでしょうね。もしそうなら、ウェルカムです。たぶん、早くても再来年でしょうけれども。P.A.WORKSの今後の動きに、期待したいですね。八俣の大蛇を倒した以上、次の敵がどんな形になるかはわかりませんが。期待します。
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