質問箱043:アイデア力は年齢で衰える?
※Twitterの質問箱に寄せられた質問を、別途アーカイブしておきます。また随時、加筆修正を加えていきます。
【質問】
【解答】
①能力のピークはバラバラ
ビートたけしさんが、漫才の途中にある人物の名前がパッと出てこず、漫才師としてのピークが過ぎたのを感じたのが35歳だったとか。
確かに35歳から、人物の名前や固有名詞などが、ドンドン出てこなくなり、50歳でさらに出なくなり、記憶力の衰えを感じます。
ところが総合的な知性のピークは、50歳という説もあります。
いくつかの情報を検索してみると、こんな感じだそうです。
②年齢を経験と技術で補完
こうやって見ると、能力のピークはズレがありますね。
体力も、スピードは25歳ぐらいがピークですが、筋力は35歳ぐらいがピークです。
ハンマー投げの鉄人・室伏重信さんは、筋力的にはピークを過ぎた39歳で、当時の日本記録を更新されていますから、技術によって筋力の衰えを、ある程度はカバーできるわけです。
知力も同じで、総合的な知性はかなりの高齢になっても衰えませんから。
それこそ、語彙力は67歳がピークですから、小説家とか作詞家とか、ここから傑作を書く可能性があるんですね。
もちろん、その年齢で学んだほうが効率が良い能力もありますから、そこを理解するのが良いでしょうね。
③バランス良く無駄も栄養
原辰徳さんの父親の貢さんは、小学生時代は器械体操を学ばせて運動神経を発達させ、中学では陸上を学ばせて総合的な基礎体力を鍛え、高校から本格的に野球の技術を学ばせたとか。
成長段階と、その年齢で発達しやすい能力を考え、実に理にかなっています。
ダメな指導者は、子供の頃から技術偏重か、高校生に筋トレさせたりして、金属バットに特化した促成栽培をしがちです。
それでは、甲子園大会では勝てても、プロになって活躍するのは、難しいですね。
アメリカでも、四大スポーツを中心に幅広くやり、複数のプロスポーツでドラフト指名なんて選手も珍しくないです。
知性も同じで、漫画を学ぶだけではなく映画・演劇・落語・小説・アニメ・絵画・彫刻……他のジャンルから、学ぶことは多いです。
かのマルセル・マルソーは、動かないロダンの彫刻に、パントマイム真髄を学んだとか。
④他のジャンルに学ぶ姿勢
他のジャンルに学ぶことは、とても多いです。
MANZEMIのポーズ論は、ボディビルの増渕聖司先生の著書や、重村尚日本ボディビル協会副会長に直接学んだ理論がベースになっていますから。
特に増渕先生の著書は、多くの漫画家がその理論の確かさに唸るレベルです。
漫画家や画家の指南本よりも、ボディビルの本が役に立つ。
増渕先生は美大で彫刻や油絵を学ばれた方ですが、知識をわかりやすく実例に落とし込むのは、なかなかに難しいです。
我以外は皆師、の吉川英治の精神が大事でしょう。
⑤技術でカバーできる部分
アイデア自体は、発想力のピークはあります。
ある漫画家さんが「同期の〇〇先生、18歳のときに見せてくれたアイデアノート以上の作品、それ以降は書いてないんだよね」と語っていました。
日々の締切に追われ、新しい発想が出てこなくなる人も、残念ながらいます。
逆に藤子不二雄のF先生は、上京前に書き溜めたアイデアノートが尽きたら、自分は廃業だと思っていたとか。
でも、実際はその後40年ほど、アイデアは沸き続けました。
また篁はデビュー前、これならプロの作品として通用するかもというアイデアは4個しかありませんでした。
が、デビュー後に百本以上の読み切り作品と、その3倍ぐらいの没になったアイデアを出していますから。
アイデア自体は、発想よりも組み合わせ能力を磨くほうが、どうやら大事でしょう。
典型のようなインスピレーションは、年に1回か2回しか来ません。
作品アイデアという点で、阿刀田高先生の本は、とても参考になりました。オススメです。
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