見出し画像

質問箱003:電子書籍制作の必要事項

こちらで、Twitterの質問箱に寄せられた質問をアーカイブしています。

①電子書籍制作アプリはLeME

セルシス社のデジタル作画アプリケーション『CLIP STUDIO』シリーズには、電子書籍の出力機能がありますが、AdobeのPhotoshopやIllustratorなどのアプリで作画してる人は、いったんJPEG形式などで出力した画像を、電子書籍用データとして、専用アプリなどでビルドする必要があります。

電子書籍制作アプリに関しては、LeME(https://leme.style/)というアプリが、とても出来が良いので、MANZEMIの電子書籍は全部コレで制作しています。充実した機能に比較して金額も安いです。インターフェイスもわかりやすく、しかも高性能。加えて、小説などの文章系の電子書籍制作も可能。

さらに、一般的な電子書籍用のEPUB形式も、Amazon用のMOBI形式の出力にも対応しています。有料アプリですが、広告付きの無料でも使用可能ですし、お試しで使ってみてはいかがでしょうか? オススメです。

②InDesignがあれば便利

ただ、出版社レベルの組版(絵や文字や罫線地紋のレイアウトを決める作業や出来上がったレイアウト原稿のことです)を制作するには、AdobeのInDesignというプロ用のDTPアプリが必要です。PhotoshopとIllustratorと併せて、DTP三種の神器と言える存在です。

現状では、こちらのアプリが最強のレイアウトソフトで、多くの出版社が使っています。小説家の京極夏彦先生は、その多機能ぶりと細かいレイアウト機能から、ワープロ代わりに使うほどです。独学で習得するには、かなり大変なアプリですし、そもそも組版の基本的な知識が、かなり必要です。

Amazonが昨年から始めた、プリント・オン・デマンド形式の紙の本での販売も考えるなら、習得は必須でしょう。電子書籍のデータを、そのまま印刷用途には使用できませんので。なぜなら電子書籍の画像は72dpiで充分ですが、印刷にはできれば360dpiが必要ですから。

レイアウトデザインとデスクトップパブリッシングソフトウェア | Adobe InDesign

需要があれば、MANZEMI事務局としては、講座を開きますが。

③作ったら配信が重要です

電子書籍は作っただけではダメで、配信して販売しないといけません。個人で出版するなら、どうしても最大手のAmazonは外せません。全電子書籍の半分以上が、Amazonで販売されています。ですが、AmazonはAmazonで、なかなか難しい縛りがあります。

実は、叶精作先生の画集をAmazonで出版しようとしたら、いきなり内容が規約違反とロックされ、アカウント自体が凍結されました。既に作品を発売していたら、大打撃になったところでした。これが法人などの会社組織ならともかく、個人出版だとAmazonは、容赦なく凍結してきます。

また、エロ規制の規制基準もわからないので、エロ系の同人誌を出したい人は、DMM同人かDLsiteが選択肢でしょう。コレにKADOKAWA系のブックウォーカーの4配信サイトが、個人出版の主な選択肢になります。こちらはEPUB形式のデータでも、データの入稿はできますので。

④印税率の違いは?

印税率は、DMM同人が値段が高くなるに従って割がよくなります。下記の一覧表を見ていただければ一目瞭然です。1000円を超える同人誌で、10万部を超えるヒット作になり、1億円を超える印税を手にしたサークルもあります。ジャンプで初版100万部でも、印税は4800万円ですから、大きいです。

これから、同人誌に参入するプロは増えるでしょう。ただ、DMMが独占的なポジションになると印税率を改定する可能性もあるので、DLsiteとの併用が無難という意見も、ネットには多いですね。KADOKAWA系のブックウォーカー系は未経験ですので、語れることは少ないですが……。

⑤個人出版の時代到来?

質問の趣旨とはちょっとズレますが……。個人出版市場は将来的に、音楽のインディーズ市場並みに大きくなると、考えています。またそうなったとき、編集プロダクションに電子書籍とPOD版の仕事を委託するようになると、自分は考えています。

雑誌を経ないヒット作も、ずいぶん増えていますし。MANZEMI講座のOBであるカメントツ先生の『こぐまのケーキ屋さん』のように、Twitterで発表した作品が、大ヒットする時代です。MANZEMIの出版部門の春由舎から、かなりの電子書籍発売に成功しています。

⑥プリント・オン・デマンドの時代

Amazonは昨年、電子書籍のみならず、紙の印刷書籍も販売できるプリント・オン・デマンド(POD)のサービスも始めました。そこで春由舎では叶精作先生の画集を制作して、発売してみました。このサービスが素晴らしいのは、外国でも販売ができ、印刷と製本は現地の印刷サービスが受けお事です。結果、アメリカやドイツなどでも注文がありました。

叶先生の画集ですから、やはり紙の本でほしいというファンが、世界中にいるのでしょうね。ボンデージ・ファッションという、世界的にファンが居るジャンルでったのも、功を奏しました。これは最初から狙っていました。なので、本も日本語は極力減らし、英語の表記に統一し、後書きは7か国語で掲載しました。こういう戦略が今後は必要なのかも知れません。

この質問箱では、もう一歩踏み込んだ回答を心がけていますので、質問をお待ちしています。

サポート、よろしくお願いいたします。読者からの直接支援は、創作の励みになります。