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GANMA!と作家のトラブル

GANMA!はコミックスマート株式会社が提供する、ウェブコミック雑誌。竹書房のWEBコミックガンマと名前が似ていますが、別の媒体です。
そのGANMA!で、新連載が取り消されたと、漫画家さんが助けを求めるポストが、流れてきました。

誰か助けてほしいです…

GANMA!さんのアプリで、10月か11月中には新連載の開始が決まっていたのですが、連載が取り消しになりそうです。
連載決定と連絡を受け半年、原稿3話分計135ページ、その先のネームや構想、アプリ用のカラーパネル2枚までできていたので、ここで連載を撤回されるのは辛い…

https://x.com/utsue_k/status/1843125821873230083
https://x.com/utsue_k/status/1843125821873230083/photo/1

前々から、トラブルはイロイロあるようですが、どうも複雑な背景があるようですね。



①2つの契約形態

この件に関しては、藍先生のnoteが、とても参考になりました。詳しくは、ぜひ全文をお読みいただきたいのですが。ポイントを絞ればGANMA!には、RouteMという専属作家契約連載作家契約の、2つがあることが、問題を複雑にしている原因のようです。

専属作家契約だと、月額固定の金額を作家のステージに合わせて支払う契約であり、報酬を保証する代償として著作人格権の放棄などが求められるとのこと。
これ自体は、駆け出しの作家にはありがたい制度でもあります。
例えて言えば、レコード会社の原盤権のような形が近いでしょうか。

②音楽業界の仕組み

例えば、X JAPANのYOSHIKIさんが立ち上げたインディ・レーベルのエクスタシーレコードは、無名のバンドなどをYOSHIKIさんの目利きで将来性を見極め、自社でレコーディングしてプロデュースする形で。

ここからGLAYやLUNA SEAなど、メジャーシーンでも活躍するバンドを輩出するのですが。エクスタシーレコードで制作したアルバムなどの原盤の権利は、アーティストではなくレコード会社に属します。スタジオを用意し、レコーディングの技術者なども会社側が用意するのですから、小説や漫画の著作権とは、また違いますね。

なので、自社でプロデュースすたバンドがメジャーでヒットすると、インディーズ時代のアルバムもけっこう売れて、投資分が回収できるんだとか。

③問題点の諸整理

原盤権は売買されてもいて、アーティストが自分の過去の原盤を購入したりとか、聞きますね。かのBeatlesの原盤権も、マイケル・ジャクソン氏が購入して、話題になりましたし。QUEENの原盤権も、北米ではディズニー・ミュージック・グループが持つなど、地域限定の原盤権みたいな形で、売買されているようです。

そういう意味では、会社側も固定で月額の金額を支払う以上、メリットはないといけませんし。著作人格権の放棄もまた、要求する根拠はあるということですね。

GANMA編集部との専属契約では、著作人格権を放棄すること、その後永続的に著作物(メモやアイデアも含む)はコミックスマート社のものとする条項が盛り込まれているのは最近色々な作家さん方のトラブルによって皆様の知る所となっていたんですね。私は結果的に弁護士や漫画家協会の協力のおかげで交渉がうまく進み取り返せたけど、当時作品外のことで、こんなにクリエイターが苦しむような対応をさせられるのかと思うと本当につらかったので、苦しんだ専属作家さんがたの気持ちもわかるし、あの時私がもっと戦えていれば、後続の作家さん達にもっとマシな環境を勝ち取れていたのかなと思うと本当に申し訳ない思いです。

https://x.com/ai_indigopro/status/1843508835014848655

今回もし助言できるとしたら、
・契約締結前だったこと
・3話分の原稿料を受け取ることで作品がコミックスマート社の著作物とされるのか
・契約交渉の余地はなかったのか(私の当時の認識では、著作人格権を放棄しない非専属契約での契約メニューがあるはず)
がポイントなのかなと個人的に思ってます

https://x.com/ai_indigopro/status/1843510631053562140

やはり当事者、藍先生のポストが的確なように思います。弁護士を間に挟むと、態度を硬化させる出版社も多いですが、こうやってオープンにした以上は、腹を括って、弁護士とともに納得いくまで話し合うのが、結果的に禍根を残さないかもしれません。

④まず弁護士に相談

気をつけたいのは、最初から避難口調だったり、法的に疎い状況で、思い込みで批判したりすると、作家の側も名誉毀損などの法的な責任を問われることがあります。

まずは、怒りをぐっと堪えて、弁護士に相談。弁護士会の規定で、相談だけなら30分5000円からですので。論点を整理しておけば、かなりのことが聞けますから。その上で、セカンドオピニオンやサードオピニオンを聞くのを、オススメします。

今後、こういうトラブルは確実に増えますので、作家の側も自分自身の圏r二を守るために、最低限のことは勉強しておきたいですね。


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