GANMA!と作家のトラブル
GANMA!はコミックスマート株式会社が提供する、ウェブコミック雑誌。竹書房のWEBコミックガンマと名前が似ていますが、別の媒体です。
そのGANMA!で、新連載が取り消されたと、漫画家さんが助けを求めるポストが、流れてきました。
前々から、トラブルはイロイロあるようですが、どうも複雑な背景があるようですね。
①2つの契約形態
この件に関しては、藍先生のnoteが、とても参考になりました。詳しくは、ぜひ全文をお読みいただきたいのですが。ポイントを絞ればGANMA!には、RouteMという専属作家契約と連載作家契約の、2つがあることが、問題を複雑にしている原因のようです。
専属作家契約だと、月額固定の金額を作家のステージに合わせて支払う契約であり、報酬を保証する代償として著作人格権の放棄などが求められるとのこと。
これ自体は、駆け出しの作家にはありがたい制度でもあります。
例えて言えば、レコード会社の原盤権のような形が近いでしょうか。
②音楽業界の仕組み
例えば、X JAPANのYOSHIKIさんが立ち上げたインディ・レーベルのエクスタシーレコードは、無名のバンドなどをYOSHIKIさんの目利きで将来性を見極め、自社でレコーディングしてプロデュースする形で。
ここからGLAYやLUNA SEAなど、メジャーシーンでも活躍するバンドを輩出するのですが。エクスタシーレコードで制作したアルバムなどの原盤の権利は、アーティストではなくレコード会社に属します。スタジオを用意し、レコーディングの技術者なども会社側が用意するのですから、小説や漫画の著作権とは、また違いますね。
なので、自社でプロデュースすたバンドがメジャーでヒットすると、インディーズ時代のアルバムもけっこう売れて、投資分が回収できるんだとか。
③問題点の諸整理
原盤権は売買されてもいて、アーティストが自分の過去の原盤を購入したりとか、聞きますね。かのBeatlesの原盤権も、マイケル・ジャクソン氏が購入して、話題になりましたし。QUEENの原盤権も、北米ではディズニー・ミュージック・グループが持つなど、地域限定の原盤権みたいな形で、売買されているようです。
そういう意味では、会社側も固定で月額の金額を支払う以上、メリットはないといけませんし。著作人格権の放棄もまた、要求する根拠はあるということですね。
やはり当事者、藍先生のポストが的確なように思います。弁護士を間に挟むと、態度を硬化させる出版社も多いですが、こうやってオープンにした以上は、腹を括って、弁護士とともに納得いくまで話し合うのが、結果的に禍根を残さないかもしれません。
④まず弁護士に相談
気をつけたいのは、最初から避難口調だったり、法的に疎い状況で、思い込みで批判したりすると、作家の側も名誉毀損などの法的な責任を問われることがあります。
まずは、怒りをぐっと堪えて、弁護士に相談。弁護士会の規定で、相談だけなら30分5000円からですので。論点を整理しておけば、かなりのことが聞けますから。その上で、セカンドオピニオンやサードオピニオンを聞くのを、オススメします。
今後、こういうトラブルは確実に増えますので、作家の側も自分自身の圏r二を守るために、最低限のことは勉強しておきたいですね。
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