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マイペースな私を急かしてくれる、時を刻む音【共同マガジン】

こんにちは、千夏です。共同マガジンのテーマ「時」から文章を書いてみました。




時で思いだしたことといえば秒針の音だ。脅迫されているみたいなあの音。音が何回鳴るかを数えようとして眠れなくなったことすらある、大変恐ろしい音である。どんな音だかわかるだろうか。たまには「秒針の音が出ない」をウリにしたゆっくりと滑らかに動くタイプの時計もあったが、秒針といえばやはり「カチカチ」と鳴るあの音である。そんな秒針の音をより一層意識するようになった出来事がある。

あるドラマで何度も時を意識させる場面があった。時計がカメラに大きく映し出され、「カチカチ」もこちらに迫ってくるような演出がされている。そのたびに心臓は跳ね上がり、幼い頃も聴いたあの音に思わず耳を塞ぎたくなった。怖い理由は分からないが、得体のしれない怖さがいつもあった。ただのドラマ鑑賞での体験だが、あれ以来時が迫るたびにあの場面を見た恐怖心を思い出してしまう。

今ならなぜ怖いのか今ならわかる。あれはドラマの中の登場人物の時間が迫っているような演出だが、その間にもドラマを見ている私も時間を感じざるを得ないのだ。

私はマイペースな子どもだった。例えば、50メートル走で時間を測る意味が分からなかった。ダラダラ歩くので12秒台をだす始末だ。母曰く、洗濯物が濡れそうな時に駆けつける私のスピードはとんでもないらしい。味見ができそうな時、遅刻しそうな時、といった必要な時にはちゃんと走れるらしい。時間を意識する必要がなければ発揮できないので、記録には残せないのが残念である。
発表の時間がきめられていても堂々とオーバーする。それくらい時間を意識しない生活をしていた。


最近長らく秒針の音を聞いていない。それに耳を澄ませる暇もないほど忙しい時もある。単にデジタル時計に囲まれて暮らしているというのも大いに関係しているかもしれない。

現在秒針に代わり、時を教えてくれるのはタイマー音である。マイペースな私でもこれがあれば時間を意識することができる。最近は肩が凝ってしまい、勉強以外では長時間同じ姿勢で過ごさないというルールが必要になった。そのためこの文もタイマー音を使って10分で書いている。

おっと!ここまでで10分になってしまった。
刻まれる貴重な時間でお読みくださりありがとうございます。