漢方・生薬- 柴胡(さいこ)-辛涼解表薬

柴胡(さいこ) http://www.chinaichiba.net/1390.html
「基源」
科名:セリ科/属名:ミシマサイコ属
和名:三島柴胡(ミシマサイコ)/生薬名:柴胡(サイコ)/学名:Bupleurum falcatum.
ミシマサイコBupleurum falcatum L.、(セリ科Umbelliferae)またはその変種の根。植柴胡と呼ばれる市場品は、元来野性のものである柴胡を栽培生産したもの。日本産のミシマサイコを韓国で栽培したものの輸入品をいうことが多い。唐柴胡は、中国輸入品の市場名で、原植物の基原を異にする。マンシュウミシマサイコ(北柴胡)Bupleurum chinense DC、ホソバミシマサイコB. scorzoneraefolium Willd(南柴胡).その他の近縁種の根である。中国市場で銀柴胡と称するものはナデシコ科(Caryophylaceae) Stellaria dichotoma L. var. Ianceolata Bungeの根である。
(補)国産のミシマサイコが最良品であるが、野生品はほとんど姿を消し、栽培品がほとんどである。


「出典」 神農本草経 上品
「別名」 北柴胡(ホクサイコ)、津柴胡(ツサイコ)、植柴胡(ショクサイコ)、北柴胡、梗柴胡、竹葉柴胡、山柴胡、南柴胡、狭葉柴胡、香柴胡、軟柴胡、細柴胡、春柴胡、秋柴胡、芽胡、嫩柴胡、醋柴胡、鼈血拌柴胡、地薫、山菜、茹草、柴草
「性味」 苦、微辛/微寒
「帰経」 肝、胆、心包、三焦


「成分」
サポニン (サイコサポニンacdefなど) を約3%含有する。
「効能」
解熱、解毒、鎮痛、消炎薬として、胸脇苦満 (胸脇部の圧痛)、寒熱の往来 (マラリアなどの周期熱) 、黄疸、慢性肝炎、慢性腎炎、代謝障害などに用いる。漢方医学でいう少陽病の主薬です。
「薬理作用」
和解退熱、疏肝解鬱、昇挙陽気。
1.粗サポニン分画;中枢抑制、鎮痛、鎮咳、解熱、抗炎症。ストレス性潰瘍抑制、利尿。
2.サイコゲニンA:中枢抑制、鎮痛、鎮咳、解熱、抗炎症。
3.メタノール可溶分画:鎮痛、抗潰瘍。
4.サイコサポニンad:抗炎症、肝蛋白合成促進、肝グリコーゲン量増加、コレステロール・トリグリセロール・ リン脂質濃度上昇抑制。
「応用」
1.傷寒、邪が少陽にあり、寒熱往来、胸脇苦満、口苦、咽乾き、目眩などの証に用いる。
本品は疏肝半表半泄熱の効能があり、少陽証要薬として治療に用いる。
常に、黄芩、半夏を配伍する。例:小柴胡湯。
外感発熱に対して透表泄熱の効能があり、甘草を配伍する。例:柴胡散。
あるいは葛根を配伍する。例:柴葛解肌湯。
現代、柴胡で注射剤を作って、外感発熱に対して解熱効果がある。
2.肝気鬱結による胸肋脹痛、頭痛、生理不順、生理痛などに用いる。
柴胡は、肝気を条達でき、疏肝解鬱する。
常に白芍、当帰を配伍し、作用を増強する。例:逍遙散。
胸脇脹痛に対して、香附、川芎、枳殻を配伍する。例:柴胡疏肝散。
3.気虚下陥による脱肛、子宮脱垂および短気、倦乏などの証に用いる。
本品は気を昇清陽でき挙陥する。
常に升麻、党参、黄芩、白朮など補脾益気薬を配伍する。例:補中益気湯。
「注意」
陰虚による咳、潮熱には柴胡を用いるべきでない。
肝陽上亢に用いるべきでない。
「処方例 」
大柴胡湯、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、乙字湯、加味帰脾湯、加味逍遙散、荊芥連翹湯、柴胡桂枝乾姜湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、十味敗毒湯、補中益気湯、抑肝散加陳皮半夏など。
「用法・用量」
1日常用量として煎剤には6~18グラム、内服。肝気鬱結をといて鎮静・鎮痛するときは6~9グラム。解熱発汗作用を強めるときには15~18グラムまで用い、時間をかけて濃く煎じる。
「産地」
中国 (河北、河南、遼寧、安徽省など) 。

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