映画his なぜ渚は別れを選んだのか
Twitterにアップした過去記事です。
寝ても醒めても…って言ったらオーバーだけれど、ふとした瞬間にはhisのこと考えちゃうくらいにはhisが好きで仕方なくて困ってます。
最近、いくら考えてもどうしてもわからなかった問いがずっとあって、
それは、なぜ渚は迅に別れを告げたんだろうってこと。
「2人でいても未来が見えない」とか「2人の未来を考えた時、怖くなって逃げた」とか色々言われていたけれど、どれも府に落ちなくて。
あんなに求め合ってた2人なのにどうして?って。
少し、いやかなり?自分なりに考えてみました。
hisの何かの記事に、同じ同性愛者であっても周囲にカミングアウトするかしないかの考え方の違いで2人の関係がうまくいかないこともあるって書いてあった。
迅は渚と同棲しながらも、ゲイであることをオープンにはしてこなかった。
迅にとっては渚といることが全てで、渚がいてくれればそれで良かったんだと思う。
でも渚はちょっと違うような気がしていて。高校生の時も、千歌に男を好きになることは自分にとっては普通のことだとハッキリ言っていたし、迅が美里から告白された時も「ちゃんと俺たちのこと言った?」って迅に言っていた。
たぶん渚は2人の中だけで完結してれば良いわけじゃなくて、自分自身を認めてもらいたい、渚は渚のままでいいんだって言って欲しいという欲求をずっと抱えながら生きてきた人なんじゃないかな、と思っていて。
もちろん迅のことを考えて、アウティングなんてしないけれど。
この2人の違いはきっと育ってきた環境の違いによるところが大きいのかもしれない。
親からの無償の愛をちゃんと受けて育ってきた迅と、拒絶されてきた渚の違い。
だから迅は、渚から求められてさえすれば、心も体も満たされていたんだと思う。
でも渚はずっと承認欲求が満たされてこなかった人だから、あの頃の渚にとって迅がいることが自分の人生の全て、とはどうしても思えなかったのかな、と。
ありのままの自分と社会との繋がりを心の奥底では求めていたから、迅とのスタンスの違いに、「未来が見えなかった」のかな、と。
そんなふうに、渚が別れを決断した理由を慮った時、ちゃんと話し合えたら良かったのにって思うけど、いやいや22歳の若者同士じゃ無理もないよなって思ったり。
海外で玲奈と出会った渚。
きっと玲奈も渚と同じように、自分を認めてもらえてこなかった人。
だからどこかでシンパシーを感じ、惹かれ合ったのかもしれない。
そして渚は、空からの無償の愛を受けて、強くもなれたんだと思う。
白川町で渚と再会して、迅が渚と空と生きていく事を決めて、町の人にカミングアウトをしたことで、渚は迅と共に生きていく本当の意味での未来を描くことができたのではないかな、と感じました。
この映画は、同じ同性愛者でも一人一人違うことをまざまざと見せつけてくれる。
そんなこと当たり前なのに。
異性愛者の人たちだってみんな違うのに。
何かのカテゴリーでくくることのくだらなさを想う。
そして、この映画が同性愛者の2人を主人公にした意味の大きさを想う。
「普通」と思ってきたことは別に普通でも何でもなくて、でも彼らにはどうしても普通になりきれない何かも確かにあって、そういう色んな人たちが生きていく社会なんだと教えてくれるから。
まだまだhisから離れられそうも無いなぁ。
普及活動もやっていくつもりです。