「失敗」と思うのは、大人だけかもしれない
「え〜ほんとに行くのー?」
日曜日の朝4時半。
少し寝坊してしまい、あわてて洋服や虫かごを用意する私に、眠そうな夫はそうたずねました。まだ半分、布団に入ったままの状態です。
「うん、行くよ!みんな起こさなきゃ」
昨晩、私は子どもたちに約束をしました。「明日の朝になったら、カブトムシをとりに行こう。だから今日は早く寝なくちゃいけないよ?」と。
子どもたちは「やったー!カブトムシとりにいくんだって!あしたじゃなく、きょうがいい!」と大興奮。
それをなんとかなだめ、「カブトムシさんは朝早くないと見つけられないから、明日の朝だよ」ということになりました。ここで起こさなかったら、のちほど起きてきたとき、クレームの嵐になることは予想がつきます。
夫はしぶしぶ起き上がり、息子たちをかるく叩いて起こしてくれました。
「朝だよ〜カブトムシとりにいくよ〜〜」
早朝にもかかわらず、子どもたちはいつもに増して、寝起きがいい。自分たちでさっさと洋服を着替え、準備ばんたん!起きてからものの15分で、いつもの公園に出かけました。
公園に到着したのは、朝5時すぎ。
もう東から太陽が出ていて、あたりはどんどん明るくなっていきます。カブトムシは明るくなると、土にもぐってしまいます。そのため私たちの勝負は、この5分、10分に掛かっていました。
この公園は、カブトムシやクワガタが大好きな、クヌギやコナラの木がたくさんあります。木の樹液のにおいがするところを急いで見ると、スズメバチがそのまわりを飛び回り、カナブンがへばりついている様子がちらほらと見えました。
しかし・・・肝心なカブトムシの姿はまったく、見当たりません。
誰かの仕掛けた、樹液に見立てたバナナの罠(バナナに焼酎をかけ発酵させたもの)が木にくくりつけてあったのですが、そこにいるのもカナブンとスズメバチだけ。
2週間前に来たときは、それでもクワガタを2匹つかまえることができました。去年は大きなカブトムシを、友達と合わせて4匹もつかまえられたのです。頑張ればまだまだ見つかるはず!
樹液のある木の上の方をみると、カブトムシかクワガタらしき、黒く光るものがくっついている様子が見えました。虫とり網でも届かない高さだったので、夫がその木を蹴ってみることに。すると、パタパタとどこかへ飛び立ってしまいます。
う〜ん、今回は難しいかな・・・
虫よけ対策に、長袖・長ズボンで来た私たち。虫よけのシュッシュもしてきたけれど、それでも山道を歩いていると、耳元で蚊の鳴くブ〜ンという音が絶え間なく響きます。
次男は耳の横の、こめかみのところを刺されてしまって、ずいぶんとかゆそうにしていました。
6時近くになって、もうだいぶ明るくなってきたところで、いったんカブトムシ探しを終わりにしようということになりました。ああ、せっかく早起きして来たのに、収穫ゼロ。私はなんとも悔しい気持ちになりました。
しかし、ふだん朝早くに公園に来ることがない子どもたち。
カブトムシが取れなかったことなんてまったく気にせず、そのあとは遊具を独占して遊んでいました。いつもは人でごった返す公園が、貸切状態!誰からも急かされることなく、ブランコを思うままに満喫していました。
そうして帰り道は、せめてもの罪ほろぼしとして、彼らの大好きな線路を見に行って。
いつもの電車をぼーっと眺めていたら、なんと、成田エクスプレスが通ったんです!成田エクスプレスって、うちの方だとめったに通らないので、子どもたちは大興奮。私までつられて、興奮してしまいました(笑)
(画像引用:トラベルWATCHさんのサイトより)
そうして朝7時を待って、開店前のマクドナルドに並んで入って。マックに並んだのは私も夫もふくめて、家族全員人生初(笑)
外のベンチで、みんなで朝マックを食べました。朝マック、たぶん食べたの2年ぶりくらいでしたが、やっぱりおいしい。ソーセージエッグマフィンと、
カリカリのハッシュポテト!コーヒーと合う〜〜
朝、いつもの景色をひとりじめしているような気持ちになって、最高でした。
その日は夜になると4歳の長男は、折り紙でカブトムシとクワガタをつくっていました。左がカブトムシ、右がクワガタだそうで、家の柱を木に見立てて戦わせています。
高くてなかなか届かないので、柱をちょっと蹴って、ぽとぽとと落とす実演つき(笑)
地面には、セミやカナブンも落ちる設定になっていました。
この折り紙があまりにも気に入り、「カブトムシと寝る!」と言って、折り紙の虫といっしょに布団に入っていきました。
本物のカブトムシと一緒に寝ることはできないけど、折り紙だったらできるね。それはいい考えかもしれない。
今回「カブトムシをとりにいく」という目的をかなえるため、朝早くから起きて準備して、公園に行った私たち。私はその目的が叶わず、ガッカリした気持ちになりました。
しかし息子たちは、それを失敗とはとらえていませんでした。
むしろこの経験によって得られた、折り紙つくる空想のカブトムシや、成田エクスプレスという出会いなど、結果ではなく過程をぞんぶんに楽しんでいるようでした。
夜寝るまぎわは「明日の朝もカブトムシとりにいこうよ〜」と言われて、困りましたが(笑)この経験が子どもたちの夏の思い出になるのかと思うと、私が嬉しい気持ちです。
そしてついつい、目的をかなえることばかりに集中してしまいがちな私たち。カブトムシはつかまえられなかったけど、私にとっても、今日は楽しくてかけがえのない1日に。
「目的をかなえる道のりだって、こんなに楽いものなんだ」と思えました。
この先、大きくなるにつれ、受験とかテストとか、結果を気にすることも出てくるはずです。でもその過程で、どれほど自分たちが楽しみ、成長できるか。それを忘れないようにしたいなぁと思ったのでした。
さあ、今日からまた新しい1週間のスタートですね。いいお天気!今週も楽しい1週間になりますように。読んでくださってありがとうございました。
小森谷 友美
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