私の生活の余白。
キッシュを焼いた。思っていたよりもかなり不味くできた。でも最高の体験だった。
レシピは『キッシュ 生地 手作り』で検索してヒットして上に出てきたやつを適当にかいつまみながら。検索の文字通り、生地から手作りでやりたかった。なぜか?
小麦粉が100gくらい余っていたからだ。100gで、ホール1つ分くらいのキッシュの生地ができそうだな、となんとなく感じた。勘である。キッシュにハマっていたので、キッシュ以外に考えられなかった。
他にもある。外にでかけたくなかった。家には材料があった。キッシュに適しそうな卵、ベーコン、ほうれん草、牛乳、チーズもあった。
私は料理が好きだ。いまだに家は一口コンロだが、一口コンロだからそれなりに順番や手順を工夫して、何品か手際よく作れるくらいに成長した。なのでキッシュを作るくらい造作もないことだと思った。それにむしゃくしゃしていた。むしゃくしゃしている時は、大抵料理をすると気分が晴れやかになることを知っている。私のご機嫌の3割くらいは、料理でまかなうことができる。3割だけど。
なのでキッシュを焼くことにした。生地を作るのに20分くらいかかった。焼くのに30分くらいかかるという。仕事中30分抜けて、キッシュを作り(キッシュを作るというより、キッシュの生地をこねていたに近い)、焼いている間、仕事に戻った。ちょうどミーティングの時間だったので、アイスブレイク程度に、「いまキッシュ焼いてて〜」という話をしたら、皆ドン引きだった。丁寧な暮らしにもほどがある。私も知人が昼休みにキッシュを焼いてる、なんて話をしていたら、それなりに「丁寧な暮らし」の雰囲気を感じるだろう。丁寧な暮らしハラスメント委員会が発足してしまう。
しかし、現場はかなり泥臭い。生地を混ぜるのは時間がかかるし、意外と重労働だ(生地が重たくなるので)。生地はかなり油を吸っていてベタベタするし、汚れる。洗い物もボウル・かき混ぜた棒・焼くときの型...それなりに増える。小麦粉を使うので粉まみれにもなる。なんていうか、泥臭い作業なのだ。想像よりも遥かに。
そして焼けたキッシュだが、全然美味しくなかった。生地が不味い。20分かけてこねた生地がくそ不味い。敗因は麺棒がなかったので生地を手で広げたため、まばらに伸びて、生地が分厚いところと薄いところに分かれてしまった点だった。しっかり焼けているところは美味しいが、分厚く生焼けになっているところがマジで不味い。美味しくはなかったが、気分は晴れやかだった。仕事は何一つ片付いてない状態で、〆切が差し迫っているものも多かったような気がするが、何でも上手く行く気がした。
これだから料理はやめられないのだ。その日はしっかり残業した。