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大学で”軍事訓練”に遭遇!



「軍事と教育」~はじめに~


日本は先の大戦で敗戦し、日本国憲法で「戦争の放棄」と「陸海空軍その他戦力を放棄」することが明記されている。そんな日本では、産官学が連携し先の大戦を引き起こしたことを反省し、学問と戦争は特に切り離されており、例えば自衛隊が大学に出向いて軍事訓練のようなものをするとなると国を揺るがす大きな事態となるだろう。しかし、これは国が変われば全く状況が変わるものであり、ここ中国では教育と軍事が密接に結びついている。日本人の我々にとっては考え難いことが当たり前に行われているこの国の一端を大学で直接見る機会があったので、中国の「軍事×教育」という部分にフォーカスしつつ目撃体験記を執筆することとする。

迷彩服の集団に突然遭遇

私が大学構内での軍事訓練を目撃したのは10月25日金曜日午後であった。その日は午前で授業が終わり、図書館に行こうと自転車をこいでいたところ、図書館の前にある小さなグラウンドに迷彩柄の服に身を包んだ30人ほどの若
者が整列していたのだ。最初は大学内にある国防研究会(軍事オタクの人々が集まり、学内で国旗掲揚の儀式などを自主的に行う)が活動しているのかと思っていたのだが、どうも声の張り方や雰囲気からただのサークル活動ではないようだ。まさか大学構内で解放軍に関連するイベントを見ることになるとは微塵も思っていなかったので、少々戸惑いながら自転車を止め周りの人に話を伺う。

大学のグラウンドで整列する学生たち。迷彩服に身を包んでいる。


40代ほどとみられる男性二人に声をかけたところ、二人からそろって「那是培训」(あれはトレーニングだな)という答えが返ってきた。さらにその中の一人が「相当于军训」(軍事訓練に相当する)と述べたのだ。彼らも詳細は分かっていなかったようだが、どうやら学校内でこのようなトレーニングが行われることはごく自然なことらしく、特に驚くこともなく淡々と説明してくれた。

大学での軍事訓練とは?

聞き込みを終えたところで、実際に訓練として何が行われているのか、グラウンドの側のネットから少し観察することとした。なお、観察している分は何もとがめられることはなかったが、スマートフォンでの撮影は危険だと判断して、近距離での撮影はあきらめた。
メンバー構成は30人ほどの若者(大学生と思われる)と解放軍の教官と思われる男性3名、それにビデオで様子を撮影するクルーが4人ほど。一般的に軍事訓練と聞いて想像するような激しいものが行われている様子はなく声出し練習やレクリエーションが中心となっていた。4班ほどに分かれていて各班の代表者が真っ赤な旗を掲げている。教官は時折、声を張り上げてはいたが、格段厳しいという様子は感じられなかった。例えば明らかに靴の色を間違えた(本来は黒い靴指定だったと思われるが一人だけ蛍光の黄緑色の靴を履いた男の子がいた)男子生徒がいたが、彼も参加することが許されていた。
「右向け右」の練習や「すすめ」の練習、声を出して歩く練習では、声を大きく張り上げ、きびきびと動くことが求められていたが、印象に残ったのはレクリエーションである。体育祭であるような、班対抗の借り物競争のようなものが行われており、軍事訓練とは思えないほど和気あいあいとした時間が流れていた。

さて、ここまで実際に私がこの目で見た軍事訓練の様子を紹介したが、高校や中学校、また広く大学では一般にどのような教育が行われているのであろうか?この点も調べるといろいろと興味深い点が出てきたので次の記事で紹介することとする。



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