リレー小説「北添の野望」シーズンⅡ（7）ひとまず就寝
門をくぐって石畳の小庭を抜ける。
— つのだこうじ (@cody4tori) October 16, 2021
あら、騒ぎの主は伊藤様でしたか
今日はお一人？
玄関で芸鼓が笑いを堪えながら出迎える。
危うかった〜
お梅姐さん、今日も綺麗だ
そないなこと言って本命はお珠ちゃんでしょ
妬けるわ〜
二階の奥ですよ
廊下を進み襖から声を掛ける。
お珠ちゃん、伊藤です
部屋をうかがう伊藤
コホン、コホンと咳をする声がする。
— china01 (@xxxchina01) October 18, 2021
芸技と言えども、
病気をすると、このような場所に寝かされ、
まともに医者に診ても、もらえない。
病気が治らないと、捨てられる。
これで良いのか？
そう思う伊藤であった。
後に芸技を取り換えひっかえ嫁にするのはこのような思いがあるからなのか
伊藤様？ お入りになって
— つのだこうじ (@cody4tori) October 19, 2021
明るい声が返ってきたので襖を開ける伊藤。
お珠ちゃんの横顔
どこか俺の母に似ている
俺は小さい頃に養子に出されたから母の事はほとんど覚えてない
覚えてるのはお茶を立てる所作が美しかった事
琵琶を弾いてくれた事
少し笑いながらお珠が言う。
今日は立見ですか？
どうしようか、迷う
するりと、心に入ってくるような言葉を言う、
— china01 (@xxxchina01) October 19, 2021
おなごは可愛い。
病気だそうだな。
ここに少し包んでおくから、
医者を呼ぶように、
無理はするなよ。
そう、言うと、
急に高杉さんのことが気になりだす、伊藤。
いい男だよ、伊藤さん
静かに頷くお珠。
— つのだこうじ (@cody4tori) October 24, 2021
鴨川に月が映っている。
玄関に降りると文蔵が十文字槍を手入れしている。
宝蔵院流の目録らしい。
文蔵さん、帰るよ
もしお珠ちゃんの具合が悪くなったらすぐ藩邸に知らせてくれ
へい
またお越しやす
門から窓を見上げるとお珠が会釈する。
手を振って料亭に向かう伊藤。
宴会が気になる
だいぶ時が経ってしまったな
— つのだこうじ (@cody4tori) October 24, 2021
あの人数だと酔い潰れを運ぶのは至難
籠を借りるか、宿を手配するか
いや、そもそも今夜の主催は坂本さんだから相談しよう
あれこれ片付けを思案する伊藤。
鴨川沿いの土手道を曲がり大通りに出る。
遅れて来た土方歳三
— china01 (@xxxchina01) October 17, 2021
遅れてすまん、近藤さん
いま、この北添君から、
我々が争わなくても良い案を聞いている
と言い、説明をする近藤
それを聞いた土方は、
近藤さん、間違っちゃいないが、
将軍様や松平様に対する恩義はどうする？
慶喜様はあちらに居らっしゃるので
聞いてみたらどうだ？と近藤
龍馬と北添が言う
— china01 (@xxxchina01) October 17, 2021
うちらが思うに
夷狄に勝つためにはどうせったらええのか？
否定的な意見はいらんち
幕府も藩の批判もいらんち
夷狄に勝つための意見として
蝦夷地開拓を考えちゅう
おんしゃらに
代替え案があるちゅなら聞きたいが
どがいだ？
夷狄に勝つためじゃ
皆！なぁ、聞いとうせ。
— china01 (@xxxchina01) October 14, 2021
そうすれば、いがみ合う事もなかろうら。
尊王じゃ、佐幕じゃ、開国じゃち、関係ないぜよ。
なぁ、皆、聞いとうせ！ なぁ。
ここのみんな誰も斬り合わなくて済むんじゃ、
沖田君は近藤さんを好きじゃろ、
あしは、武市が好きじゃち、斬られたくはないろうら。
涙ぐむ、龍馬。
そこで沖田総司が
坂本さん、
— china01 (@xxxchina01) October 18, 2021
近藤さんは好きですし、斬られたくはないです。
その為には、自分、体を張ってでも、
近藤さんを守ります。
簡単には斬らせません。
そう言い、坂本をにらみつける沖田。
それにこたえる坂本龍馬
そう言っても、ピストルには勝てんぜよ。
— china01 (@xxxchina01) October 18, 2021
沖田君の間合いの外から
撃たれたら守られん。
じゃっち、撃たれずに済む方法を
話し合おうちゅうんじゃ。
どがいだ、沖田君、と坂本。
井上源三郎、冷静に見て
井上が手で制す。
— つのだこうじ (@cody4tori) October 19, 2021
総司、落ち着きなさい
よく見ろ
弾は入ってないよ
それにお前はずっと先が長い
刀を置いた後の事を考えてみたらどうだ？
近藤先生もお座りになってください
殿のお目見えでございます
一橋の頃か？
言われた方を見ると
— china01 (@xxxchina01) October 19, 2021
徳川慶喜公がふらりと入って来る
慌てて、平伏する新選組の面々
ざわつくのは、長州、土佐、薩摩の面々
中村半次郎が、刀に手をやるのを見た、せごどん
すぐさま、声を掛ける
だいも、刀は抜っなじゃ
今日は斬り合いに来たんじゃなか
話に来たんじゃ
新選組も、刀から手を放せ
皆！なぁ、聞いとうせ。
— china01 (@xxxchina01) October 14, 2021
そうすれば、いがみ合う事もなかろうら。
尊王じゃ、佐幕じゃ、開国じゃち、関係ないぜよ。
なぁ、皆、聞いとうせ！ なぁ。
ここのみんな誰も斬り合わなくて済むんじゃ、
山本君は徳川さんを好きじゃろ、
あしは、武市が好きじゃち、斬られたくはないろうら。
涙ぐむ、龍馬。
龍馬、こん身の演説
くっくっくっ
— つのだこうじ (@cody4tori) October 16, 2021
戦いたくねぇとは面白えじゃねえか坂本とやら
慶喜が広間に入る。
山本が膝下に畏まる。
一橋様、ご尊顔を拝し恐悦至極
我が会津、大君の儀により御公儀へ忠義を尽くす所存
これ近藤、徳川様の御前ぞ！
慎め、控えよ！
山本、苦しゅうない
皆に酒を振る舞え
さらに酒を持ってくる一橋
平岡から酒樽を貰う山本。
— つのだこうじ (@cody4tori) October 16, 2021
これなるは水戸銘酒「一品」
かのペルリは四杯で卒倒した
そなた等の大和魂を披露せよ
福沢とやら
孫氏の上策とは如何に？
「戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」
うむ
天晴なる侍が刀を置きたる大会合ぞ
宵まで盃を傾けて語らうがよい
快なりー！
飲ませるのが好き？ 一橋さま？
龍馬と北添が言う
— china01 (@xxxchina01) October 17, 2021
うちらが思うに
夷狄に勝つためにはどうせったらええのか？
否定的な意見はいらんち
幕府も藩の批判もいらんち
夷狄に勝つための意見として
蝦夷地開拓を考えちゅう
おんしゃらに
代替え案があるちゅなら聞きたいが
どがいだ？
夷狄に勝つためじゃ
とは、言っても、
— china01 (@xxxchina01) October 19, 2021
新選組は将軍様の警護のためにできた組。
松平様の肝いりで、
京都の治安を守る組織でございます。
清川の様に、それを忘れては、
武士の名が泣きます、と藤堂。
榎本に同道する藤堂平助
大通りを隊士が人をかき分けて進む。
— つのだこうじ (@cody4tori) October 24, 2021
料亭の前に先行した隊士が待っていた。
近藤局長らは二階の奥座敷におられるとのことです
玄関で番頭が迎える。
これはこれは榎本様
皆様お揃いのようです
お上がりくださいませ
鼓らしき音がする。
舞か？
宴会に参加じゃ！
階段をあがると何名かが廊下で果てている。
— つのだこうじ (@cody4tori) October 24, 2021
座敷の中央に慶喜が立ち、議論を聞いている。
顔が赤い。
おお！榎本、来たか！飲め！
はは、ご尊顔を拝し恐悦至極
榎本様〜、どーんとお飲みくだし〜
坂本から酌を受け、盃を口に運ぶ榎本。
これは美味にございますな
美味そうにのむなぁ
くっくっくっ
— つのだこうじ (@cody4tori) October 24, 2021
そうであろう
海軍の首尾はどうじゃ？
はは
エゲレスは茶４杯を承認する模様でございます
鉄瓶については渋っております故、まだ時がいりまする
くっくっくっ
上喜撰が４杯とな
フランスがどう出てくるか楽しみじゃ
榎本の返盃を受ける慶喜。
強い。
強い！
それと、本日、函館よりプチャーチン殿の急ぎの遣いが参りました
— つのだこうじ (@cody4tori) October 24, 2021
蝦夷について話し合いたいと、、、
２杯目にて崩れる榎本。
くっくっくっ
オロシアも遅れに気付いて尻に火がついたかかのう
ん？榎本、そちも終わりか、、、
螺旋状に崩れる慶喜。
高杉らも果てて三味線の音が止む。
さすがの高杉も酔いつぶれたか
高杉の向こう側に
— china01 (@xxxchina01) October 24, 2021
肩を寄せ合い、高いびきで寝るのは
岡田以蔵、田中新兵、中村半次郎、河上彦斎
その傍に、突っ伏して、
たぶん泣き疲れて寝ているのは沖田総司
高杉の周りで、
ウトウトしている山縣有朋、久坂玄瑞
おキヌちゃ～んと寝言を言っている伊藤俊輔
せごどん、せごどんと寝言を言う
— china01 (@xxxchina01) October 24, 2021
大久保利通の膝枕で寝るのは、児玉源太郎
掛け軸を背に、寝ているのか、起きているのか、
杯を手に持ったまま、動かない西郷隆盛
武市半平太は刀を支えに眠っている
武市の脇でだらしなく寝ているのは
村田蔵六、桂小五郎、来島又兵衛
廊下で転がっているのは、斎藤一と永倉新八
— china01 (@xxxchina01) October 24, 2021
それを介抱していたのか、
近藤長次郎と井上源三郎が体半分廊下に出て寝ている
厠へ行こうとして
廊下にシミを広げている、原田左之助
そのシミを幾松さんが拭いている
柱に手をかけ立とうとしたのか
中岡慎太郎がそのまま、寝ている
山南敬助と佐々木只三郎が
— china01 (@xxxchina01) October 24, 2021
杯に酒を注ごうとしたまま寝ている
岩崎弥太郎と陸奥陽之助は
何か話し合っていたのだろう
頭を重ね合うように座ったまま寝ている
お膳をつかんだまま寝ているのは小村寿太郎
岩倉具視の胸倉をつかんだまま寝ているのは山本覚馬
それを止めようとして寝ている大隈重信
秋山多吉郎は窓を開けようとしたのか窓際で寝ている
— china01 (@xxxchina01) October 24, 2021
徳川慶喜を介抱しようとしたまま寝ている
河井継之助と平岡円四郎
武田観柳斎は福沢諭吉と渋沢栄一の前で偉そうに話していたのだろうかそのまま寝ている
近藤勇を介抱するように肩を抱いて寝ている土方歳三
近藤はまだ起きているようだ
北添佶摩の肩を抱いていた坂本龍馬
— china01 (@xxxchina01) October 24, 2021
窓の向こうが明るくなったのをみて
近藤勇に声をかけ、窓際に立つと
近藤くん、これが日本の夜明けじゃ
と言い崩れ落ちる坂本龍馬
そうか、これが日本の夜明けか
とつぶやき、まぶしそうに日の出を見たまま
眠りにつく近藤勇
「北添の野望」シーズンⅡ
ひとまず就寝
何とか、続いていたリレー小説も、ここでおやすみ。
打ち合わせも何もなく、最後だけ、酔いつぶれて終わると言う結末だけがあったリレー小説も無事、みんな酔いつぶれてお休みしました。
自由に書いているので、何が飛び出すのか、不明。
書いたものにどのような反応が起きるか、楽しみでした。
ご参加いただき、大変うれしく思いますし、ありがとうございました。
「北添の野望」シーズンⅢ
を始めることがあれば、また、よろしくお願い申し上げます。
おやすみなさい。