海外で仕事をしていたからこそ書けること
22歳の時から海外で長く働き、最後は中国で10年以上、働いていました。
自分が何をして来たのかよくわかっています。
カッコ良いことや、口当たりの良いことだけでは済まないのが、
働くと言う事です。
途上国と言われる国で、ODAやその他の途上国支援と言う
言葉の裏にある、経済を見てきました。
イラクでは戦争を体験し、スリランカではテロを目の前で見て、
夜間外出禁止令も経験しました。
貧困も、差別も嫌と言うほど見たり、経験したりしました。
日本の企業が海外で仕事をすると言う事は、儲けがあるからです。
ODAと言えども企業には必ず利益を落とせます。
イラクに行くときに死んでも文句は言いませんと言う
誓約書を書いた話を記事にしましたが、
その後、自分で見積もりを作るときに、気が付いたことがあります。
社内規定で、現場で死亡した場合、2000万円が支給されますが、
見積もりを作るときに、社員の死亡保険は3000万円の保険で見積もります。 なぜか、理由は簡単です。 社員が死んでも会社は利益を出すからです。 それが企業と言うものです。
実際にその後の見積もりは、社員(自分)が死んでも
利益が出るように見積もっていました。
スリランカの友人から言われた言葉が、今も心に残っています。
スリランカの友人の家は電気も水道もありません。
苦学をして、ランプの生活、海が近いので塩味のある井戸水を飲んで、
スリランカの東大と言われるコロンボ大学を卒業して
日本の企業に勤めていました。
私の家にも遊びに来たりして、家族のような付き合いをしていた
彼がしみじみ言いました。
電気や水道がある生活を望んじゃダメなのかなぁ。
環境問題などちゃんと理解していますが、
貧しい国の人がジャングルを焼き払って畑を作ったり、
蛇口をひねると飲める水が出る生活や、
電気が使える生活を望んじゃダメなのかなぁ。
日本だって公害や環境を破壊して、今の生活があるじゃないか。
今、電気がある生活、水道がある生活をしたいと
思うことは間違っているのかなぁ。
彼に返す言葉が私にはありません。
確かに、スリランカに限らず、電気水道のない貧しい国の人が、
今、電気水道を望むのは間違っているのでしょうか?
将来的に、環境問題が起きることは分かります。
しかし、目の前で電気水道が無く、当然医療もない人が、
それを望むのは間違っていますのでしょうか?
日本の電力、水道技術を無料で貸与すれば
多くの貧困層の人々が助かります。
電力は大半は石油や石炭で作っています。
それこそ電力は火力発電所を作って、電線を引っ張って、
貧困層の住む場所に送れば、電気を使う生活が出来ます。
難しい技術ではありません。
実際に、中国では東芝が沙角と言う場所に火力発電所を作りました。
私はそこでも仕事をしました。
水道に関しても日本の淡水化技術は世界最高峰です。
淡水化プラントはアラブ首長国連邦などで稼働しています。
日本では毎日、御茶碗一杯分のご飯を日本人一人一人が
食品ロスとして捨てています。
この食料をすべて貧困層に分ければ、どれだけの人が助かるでしょう。
簡単なことがなぜできないのか、政治家が悪いからとしか
言いようがありません。
国が悪いわけでも、そこに住む人が悪いわけでもありません。
基本、政治家が悪い場合が大半です。
仕事をすると言う事は、利益を出すと言う事です。
それには必ずどこかにひずみが生じます。
工場や工事関係などは安い労働力で仕事を行い、差額が利益になります。 それぞれの国では適正な金額を払っていますが、
日本人に比べたらとても安い人件費です。
その安い人件費を基本にして企業は海外で仕事をして、利益を出します。 国内でも同様です。
少しでも安く作り、少しでも高く売り、利益を出します。
利益を度外視して企業は成り立ちません。
趣味でやっている企業なら別ですが。
世界で仕事をして来た私はそうやって労働力を搾取して
工場を大きくしたり、工事現場で利益を出してきました。
利益が出れば少しでも、自分の目の前にいる人に返すようにして、
また、私の持っているノウハウ、技術などは
全て部下にあげるように仕事をしてきました。
少なくとも、自分の目の前にいる人に対しては
真摯に対応してきたつもりです。
遠くのことや、良く知らない人のことはわかりません。
ましてや会ったこともない国の政治家など知りません。
自分が出来ることを、自分の出来る範囲で無理なくやる、
これに尽きると思います。
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