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小説うめこシリーズ

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ネタ元になった「うめこ@猛禽類の社畜 」さまより、公認をいただきましたので、ここに「うめこシリーズ」として、マガジンにし、もっと多くのうめこさんを知ってもらうように頑張ります。
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#日本で

メイと呼ばせる女(2)

天津飯の甘い香りが漂うアパート窓の向こうに、メイの部屋が見える。 食事の用意を始めたメイ。 「壮一、狂犬キムと、泣かせの隆二と、 てめーの部下を三人ほど呼べるか?」 「すぐ、連絡をしまㇲ、兄貴。」と言い、どこかに電話をする。 「すいません、兄貴。  キムあにいと隆二の兄貴は、組の仕事ですぐにはこれません。 手下は30分もすれば来れまㇲ。」 「キムと隆二は何時頃これるか確認しろ。」 「はいっ。」と電話で組に確認をしている壮一。 「キムあにぃは2時間後には、隆二兄貴は3時間後

課長 志摩うめこ 34才 (1)

うめこは名字で呼ばれるは恥ずかしいという。  地元では珍しい苗字らしく、  身元がすぐにしれるから、名前で呼んでほしいと言う。  小さな田舎町、隣近所も皆知り合い、  いや、親戚の様な田舎町に生まれ、  中学、高校まで同じ町で暮らしていた。  うめこは、高校を卒業する時に、  短大か専門学校と迷ったが、短大を選んだ。  日本中のどこの田舎町にでもいそうな生い立ちのうめこ。  何が恥ずかしいのか、故郷のことはあまり話したがらない。 短大を卒業してから、親の進める地元の

うめこの伝説、ふたたび

うめこは、高校を卒業する時に、 短大か専門学校と迷ったが、専門学校を選んだうめこ。 都会の専門学校へ通い始めた。  動物のトリマーを目指す、そんな学校だ。  住んでいるのは、ロフト付きのワンルームマンション。  天井に窓があるのを気に入って、すぐに決めた。  生活のほとんどを、ロフトで済ます。  部屋にはソファーとガラステーブル、  そしてお気に入りのスタンドライト、ほかには何もない。  おしゃれな女子が住む部屋、自分がおしゃれに見える。  プリーツのロングスカートのす

メイと呼ばせる女(1)

メイは、自分の名前が嫌いらしい。  メイと呼んでねと言うが、本名はうめこと言う。  三十歳も、とうに過ぎた、いい大人が、  自分の名前が嫌いだから、違う呼び方をする。  笑い話か? 違うこれは彼女がやらかしたトラブルの話だ。  まぁ、男がらみの話でもある。  いい女には違いない。  事務所ではスーツの似合うキャリアウーマン。  夜の街に居れば、ママか、チーママだ。  実際、昼はキャリアウーマンらしい、 夜は新宿では有名なバーのチーママをしている。  だから、声を掛ける男

イヌクティトゥット語の「イグルー」または「雨風をしのげる場所」

地下鉄の改札を足早に通り過ぎ、急いで彼女の待つ場所へ。  真夏に咲き乱れた百日紅が  こんなに短い期間で葉を落とす  彼女は待っていてくれるだろうか?  ランダムに流れるイヤホンからのピアノ曲  「ベートーヴェンだっけな」  心が死んだあたしへの鎮魂歌に聴こえる  彼女との約束をかみしめながら、流れる汗をぬぐう。  先月までの酷暑も、例年にない肌寒い秋も  耳に流れる“月光”も、落葉する百日紅も  全てがあたし、御用達  彼女は陽の光が似合う。 イヤ、彼女は月の光

うめこと言う名で17才。

夕日が最後の明かりを消すように、夜のとばりが降りてくる。  最後のクラブの後かたずけを一人でしていたうめこは、 額の汗をぬぐうと、体操着で手を拭いた。 もう、夏も終わり、今日で最後のクラブ活動になる。 寂しいような、誇らしいような気持ち。  なんと言ったら良いのだろう。  達成感とでも言おうか。 少し微笑んで、最後のボールをかたずける。 もう皆いない。  いつも遅くまでやっている野球部も  今日は追い出し会で早じまい。  自分、一人で最後の、最後の、部活。  遅くな

梅花16才、初めての男(ひと)

深圳市の街ほど、喧噪もなく、東莞市ほど、ネオンもない。  ここ布吉鎮にある三流の酒店「ホテル エンペラー」のカラオケに、  年のこ頃は、二十七才か二十八才の、梅花と言う小姐、お嬢がいる。   当然この様なお店の女の子、娼婦だ。  なぜか、この梅花は片言だが、色んな国の言葉が話せる。  接待で外国人などを連れてくるのには都合が良い。  今回も、台湾人と日本人、アメリカ人の取引先の接待で、 このお店を使った。  台湾人と日本人には片言の日本語が話せる十七才くらいの女の子を付

うめこと言う名で17才。その後

わが校で生まれた伝説は、すぐさま県内のすべての学校に広まった。  新聞にも載った。  正当防衛か、過剰防衛かで警察も悩んだようだが、  結局、女子高生で下着姿、多人数で襲ったこともあり、   正当防衛で落ち着いたようだ。  しかし、各校の不良グループは戦々恐々としている。  卒業が迫る中、自分の立ち位置を脅かす存在が現れたからだ。  最初に動いたのは隣町の女子のグループ、  バックに族がいるのを頼りに、うめこを的にかけようとした。  学校帰りに、近所の神社に呼び込み、5人