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編入対策ってどうやるか知ってる?みんなが準備してない面接対策が意外に重要。

今回は、朝日ゼミ秘伝『就職術』の実践的な修得事例の番外編を、編入試験対策に関連させて紹介します。

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  • ある日のこと

  • 朝日ゼミ秘伝『就職術』は、編入にも有効

  • ブラック企業のストレス胃炎は、医学だけでは治らない

  • 経済学は推理小説のように

  • 少しわかってきたけど

  • バレリーナに「スリムですね」は、褒め言葉にならない

(実話に基づいて書いてます。具体的な会話内容はフィクションだと思ってください。)

ある日のこと


学生: 先生!
    進路について、相談したいんですけど。

私:  うん。いいよ。

学生: 大学に編入したいんですが。

私:  へえ。いいね。どこの大学のどこの学部を受験したいの?

学生: 〇〇大学の農学部です。

私:  うちのゼミ(経済・経営系)からは珍しいね。

学生: 農学部に農業経済のコースがあるんです。

私:  へえ。知らなかった。

朝日ゼミ秘伝『就職術』は編入にも有効


学生: 先生のこの間の就活の秘伝書の話(朝日ゼミでは、秘伝『就職術』
    を伝授する伝統がある)を聞いて、編入試験でも面接の準備が大切
    だとよく分かりました。

私:  うんうん。
    話しの途中からは、熱心に聞いていたね。

学生: すいません。最初は編入と就活って関係ないと思っていたので。

私:  まあ、たいていの編入希望者や大学院進学希望者もそう思っている
    ね。

学生: 僕もこの間まではそう思っていたんですよ。
    だから、あの話は衝撃だったんです。

私:  それで、また相談に来たわけだね。

学生: はい。そうなんです。

私:  『就職術』の概要は分かったよね。

学生: はい。だいたい、分かったように思うんですけど。

私:  『就職術』のテキストの中身は、神秘的なところはなくてそもそも
    当たり前のことばっかりなんだけど、就活生や受験生の視野から消
    えている大切なことを書いてある。
    だから、みなさんは、はっとすることも多いと思うんだけど、内容
    は、普通に読めば理解できることかな、と思うんだよ。

    ※ ここでのテキストとして、朝日著『就活にとまどう君へ』(日本
      橋出版、2021年)の原稿を指す。

    でもね、本を一読したからって簡単に内定・合格が確実になるわけ
    ではないね。

学生: はい。そうですよね。
    志望動機や自己アピールの書き方が分かったつもりでも、
    それを自分で書こうとするととっても難しいんです。
    それに、書いたものが、これでよいのかが分からなくて。

いざ書くとなると。

私:  だよね。
    テキストは、易しく書いたつもりだし、誰にも理解できる中身だけ
    ど。それでも、一読したら本の中身が100%すべて身につくというの
                は、難しいね。その知識を血肉にするためには、何度も練習が必要
    だよ。

    でも、一人で練習するっていうのが、難しい。
    単純に志望動機や自己アピールなどの文章がまとまっているとかど
    うかではなくて、その文を読んだ採用審査の担当者が、君を採りた
    いと思ってくれる質を持った文書が書けているかどうかにかかって
    いるから。

    その対策の手段は、企業人事を行ってきた知人に話してみるとか、
    大学・短大だったら、就活支援センターや学生部などへの相談、
    最後は、就活・進学について話し合えるゼミや友人、教員などとの
    ネット作りかな。

    就活・進学のための教室なんかもあるし、うちでは自主ゼミなんか
    もやっている。自分の枠を越えたところで、点検し合うということ
    ができる環境があるといいね。

学生: そうですね。
    うちのゼミでは、毎週、進路にむけた活動報告やっているから、
    他のゼミ生の就活やダブルスクールなどの話が出ると、励みになり
    ます。
    でも、個人的な進路先についての具体的な話しや、自己分析などに
    ついては、先生とのマン・ツー・マンが一番かなと思います。

私:  はい、はい。おだてても、何もでませんよー。

学生: それで、志望動機などを見てもらえますか?

私:  うん。了解です。

学生: じゃあ、どうすればいいですか?

私:  現在の志望動機をテキストを基に、今の自分で書ける内容をメール
    で送って。

    ……

メールが送られてきました。


私:  あー、これでは、『就活術』が全く活きていないね。
    そもそも、志望動機がありきたり。
    誰にでも書けるような内容だと、その他大勢に分類されてそれでお
    しまいです。

    君は編入後に何を学びたいの?
    そこを突き詰めたアピールがないと、上位には入れないね。
    例えば、農業経済を見る際に、一国農業を取り巻く状況についての
    自分なりの考えがあり、その上で、現代の農業経済にもの申すため
    に、何かを学びたいとか言えば、筋が通るよね。

    多くの編入受験生がやる失敗のパターンについて少し言うと、
    農業経済に対する自分の物差しを持たずに、何か適当なこと、
    それもまあ印象が悪くないだろうと、SDGsとか食料廃棄問題など
    を検討して、おきまりの「ムダをなくしましょうね」ってレベルの
    精神論的結論を書くだけになりがち。

    ムダをなくすことは、大切なことなのは言うまでもないけど、その
    普遍性のある(だから、だれでも言える)価値観を伝家の宝刀のよ
    うにただ振りまわしていては、本当にその宝刀の大切さが理解出来
    ていないことを、見せているようなもんだね。

    また、得てして、その主張も、食料の生産技術、保存技術、輸送技
    術などといった、素材的・技術的な側面に限定されて、食料生産を
    めぐる人間関係・社会的側面での問題意識が欠けていて、どうして
    農業経済でその問題を解こうとしているのか、と、いうところが見
    えてこない。

ブラック企業のストレス胃炎は、胃薬だけでは治らない


魔法の回復薬があっても。

私:  例えば、ブラック企業に努める社員が職場ストレスで胃炎になった
    とする。

    この問題に「胃薬のみましょうね。」と応えるのは、お医者様。
    原因は社会問題だから、ブラック企業を社会的に監視・統制しよう
    というのが経済学者。

    お医者様の回答は、人体の回復機能をはかるという意味では重要だ
    けど、この場合、それが根本解決にならないのが分かるでしょ。
    大学側が経済学を学びたい人を採る枠を設けているのに、農業技術
    などを言うだけではどうかなってこと、わかるよね。

学生: はい。そうですね。

私:  それなら、君が学びたい食品ロスは社会問題としてどう考えればよ
    いの?

学生: え、それは、もったいないし、環境破壊につながっているし。

経済学は推理小説のように


経済学は推理小説のように

私:  そういうことではなくて、君が行きたい経済学関連のコースだった
    らの考え方だよ。
    そもそも食品廃棄って、だれの利益につながってるの?
    つまり、だれが何のためにやっているの?
    誰かの利益につながらないのに、繰り返しそれが起こることって考
    えられないでしょ。

学生: ……。???(え、だれかの利益になるの?)

私:  リストラだって長時間労働・低賃金・過密労働だって、誰かが得を
    するから繰り返し続いているんじゃない。
    社会科学、特に経済学は、推理小説と同じで、誰の利益になるのか
    なとエルキュール・ポアロ*のように灰色の脳細胞をつかわないと。
    新聞やメディアはストレートには教えてくれないんだから。

          * エルキュール・ポアロはアガサ・クリスティーの推理小説の主
     人公です。

学生: あ、「経済学は推理小説」は先生の口癖でしたね。
    ちょっと考えていませんでした。

私:  直ぐ答えがでないなら、日本の農業問題、食糧問題について、概観
    を作ろう。私の論文にも、戦後日本農業の概観を示しているから、
    参考に、どうぞ。

    また、食品廃棄に対する先進国と日本との違いを見て、
    なぜそうなっているのかを考えるのも力が付くかもね。

    ……

少しわかってきたけど

学生: 先生。この間の論文お返しします。
    食料安保、食品関係の企業、財界の労働力政策など、すこし囓って
    みて、日本の農業の深刻さ、過疎過密問題、農村の高齢化などが少
    し分かってきました。
    それと、後先かんがえずに大量に生産してとにかく売れればよいと
    いった企業の存在や、消費者に過剰な消費要求を持たせるための宣
    伝といったことも気になるようになりました。

    先進国をみると、市民意識の高さや、市民運動・労働運動の力の強
    さなど、日本とはずいぶん違っているところが見えてきて、それを
    日本でどう実現するか、実現の妨げになるものは何か、このあたり
    を具体的に分析したいと思います。

    それを卒論にし、面接では卒論では到達できなかった諸課題を示
    し、残された課題の答えを出すために学ぶために編入を志望したこ
    とを話したいと思います。

少し分かってきたかな?

私:  了解です。大分具体化されてきたね。
    次は、それを実現するために、どうしてその大学を選んだのか、
    どの教員のどんな研究をみて、その先生のゼミに行きたいと思った
    か、そこで何を学びたいのかを明らかにしよう。
    最後に、卒業後の進路についてもぼんやりとでよいから展望してお
    こう。
    こうして考えていくとライフワークも見えてくるかも知れないよ。

バレリーナに「スリムですね」は、褒め言葉にならない

学生: 少し話しが逸れますが、
    志望理由に、その大学の施設・設備などの学ぶ環境が整っていて、
    とか、伝統に引かれて、ことは書いた方が良いのでしょうか?

私:  私だったら、それは、一切書かないかな。
    だって、そんなの誰でも書けるから。
    そんなこと書いてくる受験生って、ありきたりの進学意欲しかない
    っていってるようなもの。
    何度もそんな話聞かされて、嫌気がさしていると思うよ。

学生: そ、そうですか。大学を褒めるようでいいのかな、と思ったのです
    が。

私:  確かに「ほめほめ」は、朝日ゼミの『就活術』の一つの柱だね。
    しかしね。褒めるものを選択しないと、大きな落とし穴に落ちる
    こともあるんだよ。

    例えば、バレリーナに、
    「いやースリムですねー」「うらやましー」
    とかいっても褒めたことにならないわな。
    バレエの技術、芸術性に感動しましたとかでないとね。
    個人として、痩せる努力に関心があっても、褒めるところはそこで
    はないよね。

バレリーナにスリムですね?

    大学が政策的に行っている研究や教育のプロジェクトを褒めるのは
    よいかもしれないが…。 
   
    ただ、「施設設備が整っています」ではなく、何を目的にその施設
    設備を整えているのかという点での大学側のビジョンとか、そのた
    めの努力とかを褒めるのならいいけど。駅から近いところに土地を
    集めて、すごくお金がかかったでしょう、は、褒めにはならない。
    だから、これから学ぼうという訳だから、ぼくなら、志望先の具体
    的な研究業績が優れているとか興味深いとか書くかな。

学生: わ、分かりました。
    それでは、自分の学びの到達点を反省し、〇〇の専門分野でご活躍
    の☆☆先生研究にひかれて、☆☆先生のゼミで学ぶため貴学を志望
    しました、というストーリーを考えます。

私:  だいたい、それでいい。
    具体的に書いて、データ送って。関連資料もあれば添付ね。☆☆先
    生の論文なども。
    添削は、朱で真っ赤になるかもしれないけど、
    何度かやりとりして、朱をなくしていこう。

学生: えー、緊張するなあ。
    
    ……… 

    しばらくして合格通知が届いたという連絡がありました。
    2021年夏のこと。  


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