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私が世界を救うまで 第13話

【天界】

「さてと…
どう乗り切るかプランを考えましょうか」

まるで何事も起きていない日常の一コマのような感じに言った深淵級社畜(※エリート社畜)の上司ラファエル。
そのいつもの感じに「はい」と瞬間で答えたエリート社畜あるふぁは流石である。

「まず、可愛いをへんか…ん…じゃなかったっ!えっと……」

……流石である。

「めんこい?ですよね?クリニックはまだ行けないし、コメントしている暇はないですよ?
まだ意識がハッキリとしていないのですか?しっかりと目を覚ましてください。
特性の鍛え直しがやはり必要な時期なんですかねぇ…」

何か勘違いをしてくれた。
もう頭の中を読むのをやめたのだろうか?

「まぁいいです。今はどうするかのプランです。ほらほら…。
ぁ、癒しの力が暴走したっ」

いっけね、てへぺろみたいな仕草だが、暴走なんて言葉は恐ろしい。
部下の肌が若返ったかのようなつるるんうるるんタマゴ肌になった。
上司はなんだかご機嫌さん。

「…あの、プランなんてすごいものじゃなくて質問みたいな感じなんですけど。」

「なんですか♪
時間はあまりないですけど答えてあげますよ!」

「位が上なのは分かってるんですけど、仲良く話してたじゃないですか。ソロネ様と。啓示はしないと言ってましたがなんとか説得出来ないんですかね。」

おぉ…神よ
偉大なる我が主よ。
今日も部下の視界は良くないようです。
癒しの力が足りないのか教えてください。

と大天使は思いつつ、ご機嫌さんのままで返答する。

「あなたにはあれが仲良くに見えていたんですね。どうやったらそう見えるのです?なんかの補整かかっているんですか?」

「ぇ?
だって呼んだら来てくれる上司なんて仲良しじゃないですか!もしくは心優しい方かです。または両方。
なら、また話させてもらって説得させてもらえないかなって。
感情に訴えるなんて技は天界社畜課に入ったらまず第一に学びますよ?」

教えてくれたのもあなたですと曇りなき眼で上司を見つめる。若返った肌が技の効果を上げるだろうな。綺麗だなと大天使にヒット。ダメージはすごい。

「ソロネには残念ながら効かないのでダメですが、私にはとてつもなく効いてしまうのでやめましょうか。」

「効かないんですか…」

「ぇえ、ええ、全く。1ミクロンも効きません。まゆひとつ動きません。絶対に。上司の言うことは?」

丸呑みです。はい。
でも、なんかいつもとちがう圧を感じたが
まぁ些末なことだろうとスルーする。

「んー……どうしたらいいんだろぅ」

深淵級社畜(※エリート社畜)が悩んでいる姿はいい。
癒しの力がまた暴走しそうだ。

大天使なこの上司は癒し魔サイコパスと呼ばれ、苦笑いされることもあると部下は知らない。

【滅びの木】

グルわァァァァァァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!

ドラゴンが炎で大地を焼いているが、滅びの木の周りで生き残っている生命体はユーンとヒカリだけだった為、被害は拡大していなかった。

けれど、狂ったとはいえエンシェントドラゴンの頭の中では殺戮しろの声がいまだ繰り返し聴こえている。
生命体がいないと分かったのか移動しようとした時だった。

「おかぁさぁん!
ね、そんな目をしてるけど、分かるでしょ?
怖い声を出して炎も吐いて、でも分かるでしょ?
ここはおかぁさんが守る世界なんだよ。」

ユーンは母に語りかけた。
自分を殺そうとしたのかもしっかりと本人から聞きたかったし、おかしくされただけで元の母に戻れると信じている。

ん"なぁぁぁあんん!!

「ヒカリ!やめて。」

ご主人様を守る猫の獣人(元邪神分体)は容赦ない咆哮でドラゴンに攻撃した。
二足歩行の人型になって攻撃力が落ちたかと思われたが、守る力というのは強い。
けれど、
狂ったドラゴンは守りの力として使っていた炎を滅ぼす力に使っても強かった。

「ヒカリ、私の腕に抱かれて?小さなサイズでいいの。あなたが私を守る必要はないの。ね、いい子。おかぁさんは世界を滅ぼさない。」

んなぁーぉ とご主人様の言う通りに小さくなるヒカリ。
腕にいい重みがある。

「おかぁさぁあん。みて!
世界は滅びないよ。ヒカリはいい子だから。」

グルわァァァァァァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!

ドラゴンには伝わっていないように見える。

【天界】

「バステトの邪神分体がただの黒猫に…そうですか、ソロネのよかったはこれだったのかもしれませんね。」

可哀想にも贄になっていった猫たちは返ってはこないけれど、いつか邪神分体である危険生物にですら
「いい子」と撫でてくれ、抱き上げてくれる存在が現れてくれたらと長年復讐しながらも願っていた。ソロネは堕天などしていないし、バステトは猫への気持ちが溢れた結果なのだ。滅びてもかまわないとは言ったが、滅ぼしたいとは一度も考えなかった。
ただ方法が無茶苦茶なだけだった。人間には迷惑極まりないが神や天使の行いはそんなものかもしれない。
だからといって、全てが解決はしていない。

グルわァァァァァァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!

「ラファエル様。ドラゴンは元に戻ってません。やはりソロネ様に…」

「ソロネは動きませんよ。神を乗せる以外で動くなんて本来しません。呼んでここに来てくれたのも水晶鏡からドラゴンを狂わせるためにです。全て仕組んだんでしょうね。ユーンの魂を見つけてから。」

ただの天使代理ではわからない何かが、ユーンにはあるのか。

……まてよ?
危険生物の誕生と同時期に怒る地球への最悪の災害は?

「起きていません。」

んぬがぁぁあ
頭の中読まれた
やめてなかったのか!

「誰がやめたと言いました?天界にいる間は常に読んでますよ♡」

はっ?

「ぃや、いいです。上司が変態かもしれないのは今は気にしません。」

「私としたことが、見落としてました。
今回不思議と地球には災害が起きていないんです。何故かと考えた時、ふと思いました。ソロネがユーンにその災害すら持たせていたのだとしたら?と。」

チカラがあるから…
そう言っていた。
ソロネが殴り飛ばされた原因ではあったが、よけることは本当に出来なかったか。
相殺することは出来なかったか。色々とおかしいことはあった。

「まぁ憶測でしかありませんけど、ない話でもない。勇者が必要にならずにすむと計算したんでしょうね。滅びてもかまわないというのも本心でしょうけど。」

そこもできればなんかこう……
まぁ、ひとまず地球は安心っと。
あとは狂ったドラゴンだけ……
その「だけ」が大変なんだけど。


To Be Continued

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