見出し画像

句集「雨曜日」の鑑賞

朝からたっぷり一時間、
愛亀のチリちゃんを外で日光浴させ
既に疲れきっているちりです。

こんな日は家で
ゆっくり本でも読みます😌


以前、柏柳明子さんが講師の
「俳句入門講座」に参加しました。

その時に、
広瀬ちえみさんの川柳を
ご紹介くださいました。

それを機に
川柳に興味を持っていて、
ようやく句集を入手。

それが

広瀬ちえみさんの
句集「雨曜日」✨


水たまりのような水色と
雨雲のような黒の表紙デザイン。

タイトルも雨粒のようなフォントで
名前も可愛らしいです💕

帯にはこちらの句が
取り上げられています。

うっかりと生まれてしまう雨曜日 広瀬ちえみ

まるで雨男か雨女が
雨の日にしてしまったかのようです。

うっかりという言葉が
やっちゃった感が出ていて
面白みを感じます😄

俳句ではないので
もちろん季語がありません。

それでも、
詩らしさが十分に感じられます。

これまで川柳といえば
「サラリーマン川柳」のイメージしか
ありませんでした。
(すみません🙏)

でも、こちらの句集を読んで
川柳のイメージが完全に変わりました。

この素晴らしさを共有したく、
僭越ながら、好きな五句を鑑賞しました。

宜しければぜひ。

一句目

御神輿の端を持ってるふりをして

子供の頃から背が低い私は
実感としてあります。

はっぴもみんなより
小さめサイズ。

周りの子供たちと同じように
ただ御神輿を担ぎたいだけ。

ただそれだなのに、届かない。

もう持ってるふりをする
しかないのです🤣

もしかすると、
人によってはズルをして
持っているふり。

という読み方をするかもしれませんね。

なぜを言わないからこそ、
読者によって鑑賞が変わりそうなのが
句の広がりなのでしょうね😊


二句目

名のるほどのものでもないが蛇苺

映画やドラマで
こういうセリフを言う人は
だいたいヒーローや主役です。

さらっと大きな仕事をして
強い印象を残して去る。

一方こちらは、
ふと足元を見てみると
あちこちに蛇苺。

気づけば印象に残る野草です。

シンプルな措辞から
下五に蛇苺と言う着地。

鮮明に蛇苺の赤が
脳内で映像化されて
主役級に印象を残しますね。

リクガメは蛇苺を食べるので
次回、摘みに行ったら
間違いなく御句を思い出すでしょう😉

三句目

六人の三人転ぶ今日の予報

雪が降った翌朝は
滑ったというニュースをよく見ます。

結構な割合で
転んでいると分かります。

かなり路面がつるつるなのでしょう。

天気予報士が注意をしても
転ぶ人は後を絶たないような状況。

一月、二月あたりの
雪の日あるあるを
よく捉えていると思いました😄

また、別の読みをすると
天気予報があまりにも外れて
吉本のようにずるっと転けた。

なんて読むと
それもまた面白い句になりますね。

四句目

物干しの父を取り込むのを忘れ

生乾きだったのか、
急いでてたまたま忘れたのか。

なぜかお父さんの服だけが
物干しにとり残されています。

それを「父を取り込む」と表現したのが
御句の面白さです。

まるでお父さんがベランダに
忘れ去られたかのようです🤣

そんな想像をして読むと
とても面白い句で好きです💕

日常の一コマも
表現ひとつで印象が変わり、
句として成り立つのだと学びました。


五句目

しあわせとしわよせしわすにはちあわせ

幸せとしわ寄せ師走に鉢合わせ。

言葉遊びがお上手で
リズムの良い面白い句です。

漢字にすると
意味がよく分かりますが
全てひらがななのが味です。

切れ目がパッと分からない
ごちゃごちゃ感が出ています。

せっかく幸せな気分なのに
何か嫌な仕事や無理なことを
押しつけられたのかもしれません。

よりによって師走の忙しい時に
どさくさに紛れて。

想像しただけで、可哀想🥲

幸せだった人が
不幸になる瞬間です。

どさくさ効果のひらがなが
その嫌な気持ちを
少し和らげている気もします。

そんなシーンを
切り取る感性と表記の効果が
素晴らしい句です✨



以上、好きな五句
いかがでしたでしょうか。

まだまだまだまだ
好きな句がありました。

全体的に面白い句が多く
私の好みにぴったりでした✨

これが川柳なのか
ちえみさんの作風なのか
私には分かりません。

でも、
俳句でも短歌でも川柳でも
詩心は共通だと思いました。

素敵な句集を読めて
幸せな一日になりました🥰

ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!