食で喧嘩をしない為の一つのルール
こんばんは。20ヶ月間、夫と日本一周をしたアーティストのチルワカです。
今回は、最近ふと思い出した出来事です。
日本一周旅の間の唯一の喧嘩と、その後の私達の間に出来たルール。について書こうと思いました。
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私たちはよく友人に「2人って喧嘩する事あるの?」と聞かれる事がある。
その要因は多分、穏やかでいつもニコニコしていて、誰にでも分け隔てなく優しい夫。
大抵「うーん、、、まぁ1年に1、2回くらいはするよねぇ?」という答えになる。
ちょっとお互いに険悪な空気になった、みたいな感じだ。
そんな私たちは結婚前に20ヶ月ずーっとカローラという旅には小さな車で47都道府県全てを回る旅に出た。
サーフボードを2本詰んで顔面に迫り来る天井に、シングルの布団は折れ曲がってやっと敷けるような所で、心身共に24時間行動してきた。
「そんなの絶対喧嘩になるよ」と言われてきたけれど、20ヶ月の間に覚えている喧嘩とすれば「ホヤ事件」と「オナラ事件」だろうか、、、
名前ってば。笑
そして今回は、あまり喧嘩のしない私達に出来た暗黙のルールが決まった「ホヤ事件」について書きたいと思います。
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なんと言っても私たちは食の好みが正反対である。
酒好きな夫は、私からすると癖の強いツマミになる物が大好物だ。
サザエの肝、ホタルイカ、レバーやガツ刺し、ホルモン、etc
私からすると、「それってお酒じゃなくて、水と一緒だったら食べる?」って言いたくなる物ばかりだ笑
ほぼ私の嫌いなオンパレード。
当の私と言えば、ハンバーグやグラタン、チャーハン、パスタに、餃子、ピザ。
「子供かっ!」と強く突っ込まれそうな、子供舌な物が大好きである。
余談であるが昔々、20歳の頃に勤めていた会社の社長さんに
「今日は入社した記念にみんなと一緒にお昼に連れてってあげるよ。何が好き?」と聞かれた私。
周りの先輩達は、私の答え次第で「今日は寿司か?中華か?」と楽しみに思考を巡らせる。
急な質問にグルグルと私の好きな物達が頭の中で高速回転しながら、
咄嗟に口から出たのは
「、、チーズ。」
と答えて、お昼を何にしようかと社長を困らせた事がある。笑
そんな私と夫の食は、もちのろん!旅中どこに行っても合うはずがないのだ。
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私を旅中にイライラさせた夫の癖が一つある。
それは人が食べている茶碗の中に、「食べなさい」とばかりに、ポンポン勝手におかずを投げ込んでくるのだ。笑
彼曰く、自分が小さい頃、親が「これも食べなさい」とされてきたのがそのまま癖になってしまっているそう。
が、そんな文化のない家庭で育った私には、自分のテリトリーに急に大番狂せな物が入ってくる。
自分に振り分けられたおかずを考えながら、私には私のペースがあるのに!
好き嫌いのある私の健康を考える親心なのか、夫は私の嫌いな物を放り込んでくる。
しかも、「もぉお腹いっぱいかも。」のタイミングで嫌いな物が1つ、2つと繰り返しに来るのだ。
それがまぁまぁ気持ちが萎える。
お腹いっぱいの中にさらに嫌いなものを詰め込まなくてはいけないと言うノルマと、自分のペースで気持ちよくご馳走様が出来ない。
普段はそんなに気にしないものの、その行為が少しづつ少しづつではあるが、旅中に小さなストレスとなっていたのだった。
さらに、もう一つ私をイライラさせた事がある。
私が嫌いだと言う物を
「ちょっと食べてみなよ?ちょっと、ほらちょっと。好きかもしれないじゃん」
と、しつこく食べたせてくる所だ。笑
それが通用するのは小さな子供にだけだ。
30年以上生きてきた私には、もぉすでに自分の嫌いな物がハッキリしている。
食べなくても分かる、生臭い物、癖の強い物が苦手なのだ。
そんなちょっと食べてみるなんて、子供の頃からトライしようの精神で、うん十回と繰り返してきた。
もぉ、いい加減分かった分かった。嫌いなものは嫌いなのである。笑
いつも「いい、嫌だよ」と言いながら、渋々と少し口にしてウェッとなるのがオチなのだ。
そんな事を旅中も繰り返した。
そう、24時間共に過ごしている以上、その機会も自ずと増えるのだ。
そのストレスが知らずに積み重なっていたのだった。
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関東から少しずつ北に進んでいく私たち。
だんだんと北関東から東北に行くにつれて、大きな海鮮市場が出てくる。
見た事ない魚を目の前にして、海鮮好きの夫は目をキラキラさせて何十分もウロウロする。
私は、そもそも海鮮売り場の独特なニオイが苦手。
サーーっと店内を徘徊するだけして、「まだ出てこぬのか?」と、早々に店外で待ちぼうけスタイルである。(それぞれの聖地に行けばその逆もしかり)
そんな中で、東北あたりから市場やスーパーにチラホラとよく出現してきた奴がいる。
ホヤだ。
すでにホヤが入れてある水槽からは私の苦手な生臭いニオイがするのだ。
得体の知れないグロテスクな見た目からしても、もぉ私は無理である。
何度も目にするたびに「ホヤね、ホヤ!ホヤ食べてみようよ」と楽しそうに言ってくる夫。
「私はいいよ、無理だもん」
夫も私が嫌いなのを重々承知だ。
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そんな事を積み重ねてのある夜の事。
それは勃発したのだった。
もぉ自炊の夕飯も終えて、あたりは真っ黒な道の駅。
車の外に腰掛けて、お互いにまったりスマホをいじったり思い思いに過ごしている時間。
「うん、よし。明日はホヤのパスタにしよう!ね!ホヤ!」
と少し楽しそうに、そして嫌がる私に向けてニヤニヤ(私にはそう見えた笑)して夫が言ってきたのだ。
どうやら、スマホでホヤの料理の仕方を調べていた様だった。
もぉずっと「食べたくない!」とハッキリ言っているのにだ。
この期に及んで、まだ無理やり食べさせようとしてくる!
どんな料理にしてくれたって、無理な物は無理なのだ。
せっかく作ってくれたのに。と言うかおそらく料理の時点からニオイが無理だと察する。
そして、結局一口で食べられなくなって、残すのも、このまま食べるのも、、、と。
なんとも言えないズーンと落ち込む自分のテンションが目に見えている。
普段、大きな声で怒鳴ったりブチ切れる事もそうそうない私が、色々旅の疲労やその小さな小さな積み重ねのイライラがプチッと私をキレさせた。
「だから、嫌な物は嫌だって言ってんじゃん!!」
久々に大きめの声を出した。
イライラが止まらない。
さぁどう返してくる?
「だって好きになるかもしれないじゃん!
俺は料理人だから、嫌いなものも美味しいって言わせたいし食べさせてあげたいって思っちゃうんだもん。好きな人と一緒に美味しい物共有したいじゃん。一緒に旅してるのに、そんな個々に好きなもの食べればいいなんてそんな寂しいことある?」と。
おーーーっと、これは私の予想の斜め上をキターーーー!!
予期せぬ答え。
いつもそうだ。優しい夫の意見はいつだって、ちょっと2人の事への思いやりが入ってたりして、
内心「えー、そー言う感じー?何かごめんってなるじゃん、、」ってなるのだ。笑
が!今回は引くに引けない!
だってこの先も嫌いなものを、ホレホレとずーっと食べさせられるのかと思うと気が遠くなる。
「食べたい物は食べたい人が食べればいいじゃん。なんで無理やり食べさせてくるの?あんまり分からないかもしれないけど、嫌いだって言ってる物を、いつもいつも食べさせられる人の気持ち考えたことある?」
と私も引かない。笑
正直イライラした頭で考えても、もぉどっちが合ってるか間違ってるかもよく分からなかった。
これは私が悪いのか?折れたらいいのか?じゃあ今後もこの件に関して、我慢をして一緒に居なくてはいけないのか?と頭をグルグル。
それからどんな話し合いになったかは、正直言うとあまり覚えてないのだが、まぁ久々に険悪なムードになった夜の道の駅 in 仙台。笑
そして、はっきりとルール化しよう!なんて話はしてないと思うが、お互いの中で
「無理やり食べさせない。食べたい人が食べればいい」
と言う結論になったんだと思う。
あの日から、ホイホイと人の茶碗におかずを入れてくる事もなくなったし(たまーにある笑)
無理矢理に食べよう!食べさせよう!と無理強いしてくる事もほとんど無くなった。
あのホヤ事件がなかったとしてもいずれどこかで私は爆発していただろう。と思う。
確かに夫の言う、互いに共有し合いたいって気持ちももちろん分かるし、そう思ってくれてるんだなぁと嬉しい気持ちもある。
だけれども、全てを一緒にしなくてはいけない訳でもない。
他にも、もっと二人で分かち合える事も沢山あった。
特に旅中の様々なトラブルに関しては、今では笑い話だし、一緒に乗り越えたって言うチームワークを感じる強い出来事だ。
意外と、二人で楽しかった!美味しかった!よりもピンチだった事、不味かった物の出来事の方が今は良き思い出として浮かんで来たりする。
まぁそんな訳で、我がチームのルール。
「食べたい人が食べればいい」
です。
残していた物を食べちゃった食の恨みは怖い。なんて言うけど、逆パターンもしかりです。笑
なので、たまーに「互いに好きな物買って来て一杯」なんて手抜きの自由ご飯。みたいになった日には、魚と厚揚げを焼いて嬉しそうに食べる夫の横で、私はあつあつのグラタンを頬張る。
なんて光景もしばしばです。
セロリの歌詞にもあるけど、育った環境がまるで違うんですもんねー。
食に関して、お互いに踏み込みすぎない。いい距離感を。互いの食の好みには口を出さない、リスペクトを。
が、しいて言うなれば喧嘩をしない私たちのルールです。
そんなこんなで、これが2018年ホヤ事件でした。笑
私たちは食こそ真逆ですが、それでも楽しくやってます。
皆さんはどうですか?
食が合うって羨ましい限りです。
最後までありがとうございました!
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