大殿筋-上部線維と下部線維の重要性-
大殿筋は人体最大の体積を有する筋です。
歩行動作等に欠かせない筋となります。
あなたは大殿筋についてどれくらい説明が出来ますか?
今回大殿筋について最低限知っておいた方が良い知識を自分なりにまとめました。
私は大殿筋について説明しようと思ったときに自信が持てない部分がありましたので、勉強し直したことをここにまとめました!
起始停止
まずは起始停止からみていきましょう。
起始:腸骨稜、上後腸骨棘、胸腰筋膜、仙骨(後面外側部)、尾骨
停止:腸脛靭帯、殿筋粗面
そしてここで大事なのは骨と筋の繋がりだけでなく、筋と筋の繋がりをしっかり確認しておく必要があります。
このように沢山の筋と筋の繋がりを確認できたことで、大殿筋は体幹と下肢の連結に不可欠な存在であることが分かります。また、大殿筋の機能不全によって、色んな筋に影響を及ぼすことが考えられます。
上部線維と下部線維の違い
次は機能解剖について紹介します。
大殿筋の作用として最も有名なのは股関節伸展です。
しかし、それだけでは臨床で大殿筋について考えるには不十分です。
大殿筋は上部線維と下部線維に分かれています。
上部線維と下部線維では作用が異なります。
このように大殿筋の上部線維と下部線維の違いが分かったところで、次はどのような動作時に筋活動が行われているのかみていきましょう。
歩行動作における大殿筋の筋活動パターン
大殿筋の筋線維走行を考慮すると、仙骨、尾骨後面から大腿骨殿筋粗面にかけて、より縦に走行する下部線維が効率よく股関節伸展運動に関与すると考えられています。
そこで、立脚初期では身体の前方移動とともに股関節屈曲による体幹前傾が生じないよう制動し、股関節を伸展するために大殿筋下部線維の働きが重要になると考えられています。
大殿筋上部線維と下部線維でここまで役割が違うことが分かりました。
他にも起立動作や方向転換などの動作がありますが、今回は歩行に着目してみました。(今後、大殿筋と他の動作についてまとめていこうと思います!)
大殿筋伸展作用に対する訓練方法
ここまでの内容で大殿筋上部線維、下部線維の違いについて理解しておく必要性が感じられたと思います。
このことから訓練内容も上部線維、下部線維で分けて考えていく必要があると考えています。
まずは大殿筋伸展運動に対する訓練方法をみていきましょう。
例えば、側臥位で股関節伸展運動を実施するときは、大殿筋を狙うのであれば股関節伸展域から動作を開始するのが良いでしょう。
大殿筋上部線維に対する訓練方法
【方法】
①股関節外転位運動:膝関節90°屈曲位で固定した側臥位にて、足底をセラピストの骨盤に当てる。大腿骨に対し直角に抵抗を加えつつ、股関節屈曲、内転、内旋位から伸展、外転運動を股関節屈曲20°から-20°の範囲で行う。
②腹臥位運動:骨盤を固定した腹臥位にて、股関節伸展15°で膝窩から抵抗を加え2秒間保持する。
これらの報告から分かるのは、大殿筋上部線維をトレーニングするには股関節伸展と外転運動が筋活動量を向上させるということです。
ちなみに注意点として、これらの研究はすべて健常成人男性で実施しています。
大殿筋下部線維に対する訓練方法
大殿筋下部線維を狙うには、腹臥位運動が良さそうです。
先ほど大殿筋上部線維の項目で腹臥位運動について説明しましたが、ここでも同様に運動方法を載せておきます。
腹臥位運動:骨盤を固定した腹臥位にて、股関節伸展15°で膝窩から抵抗を加え2秒間保持する。
今回紹介している腹臥位運動では、股関節伸展15°で保持する方法です。大腿骨骨折の疾患、高齢者、腹臥位がとれない方が行うには少し難しい面があるので、股関節伸展15°で設定せずその方に合う方法を模索できればと思います。また、大殿筋下部線維の収縮量を確認しながらやる必要もあると思っています。
本記事内容は個人的見解を含むものです。すべてを鵜呑みにせず参考にしていただけたらと思います。
そして何より、学んでいく楽しさを忘れずに自己研鑽していきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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