見出し画像

織姫に会いに

 仲良くなってからおそらく5年ほど経つ友人と初めて会ったのは昨年の8月下旬だった。
 彼女はTwitter(現X)で、趣味を通じて知り合った同い年の子である。相互フォローで、お互いの存在は認知していたはずだが、本格的に仲良くなった時期は曖昧だ。何かのきっかけでDMで話すようになり、その話が恐ろしいほどに合った。LINEを交換したのもその延長だった。

 埼玉に住む私と、新潟に住む彼女は、簡単に会うことができない。と思っていたら、彼女が彼女のお母様の用事に着いて、埼玉に来ることになった。それが昨年の8月下旬である。迷うことなくその日を空けた。当日は、初めて会ったとは思えないくらいに心地よく過ごすことができた。

 そして、今年は9月9日。彼女に会うことができた。今度は私が新潟に行く番であった。彼女が、海を見に行かないかと誘ってくれたのだ。
 私は日本海が好きだ。以前、富山で見た日本海も、波が穏やかで美しかった。
 私はすぐに新潟に行くことを決めた。残念ながら、2人の予定が会うのは今回も1日限りで、日帰りで新幹線の往復券を買うしかなかった。悔しい。
 1年のうち、夏の1日だけ会える。まるで織姫と彦星のようだと思った。一緒にいる時間が楽しくて、いくらでも過ぎていってしまうのに、1日では足りるわけがない。次回は絶対に、温泉旅行などの泊まりの計画を立てようと約束した。
 彼女は私の話を楽しそうに聞いてくれるし、素直に可愛く、楽しそうに話してくれる。お互いに、この1年を埋めるように話す。尊くて、愛しい時間だ。
 その時間にも終わりが近づいてくると、どうしても寂しくなる。嬉しいことに、彼女も同じ気持ちであると、表情や言葉、空気感の全部で表してくれた。もっと近くに住んでいたらなぁ、もっと一緒にいられたらなぁ、せめて今夜だけでもお泊まりできたらなぁ。
 次に会うのは2月か3月にしようと決めている。もっとたくさんの時間を共有したい。
 最後に何枚も写真を撮って、私だけが改札に入り、見えなくなるまで手を振り合った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?