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ホームレス妊婦になりかけた話6《鳩のおっちゃん編》

I have a studio in ●●地域. It's has 1bed,1 bath & kitchen

実際に届いたメッセージです。

わたしは●●地域にスタジオ(1ベッド)を持っている。1つの部屋と風呂とキッチンがある。という内容。

一瞬、ワオ!と思ったものの、待てよ・・・。

それまで、タイニーハウスを決めるまでの間でも、Facebookに投稿してから数十件のメッセージが、いろいろな人から送られてきていました。

その大半はスパム(詐欺師)だったり、治安の悪い場所の賃貸だったり、あまりいいイメージがなかったので、今回もそうじゃないかと怪しみながらメッセージを交わすことにしました。

Thank you. How much is it? Can we visit tomorrow?
ありがとう。それは、いくら?明日、下見できる?

Sure
I'm available at 10am
もちろん
10時、可能です

How much is the property? Do you have pictures?
It's hard to get there at 10:00.
その賃貸の値段はいくら?写真はある?
10時は厳しい。

How about 11 am?
11時はどう?

I can go there. Please give me your address.
行ける。住所を送ってください。

これも実際やり取りしたメッセージです。

わたしの淡々とした愛想のない文面から、怪しんでいることと、早く決めてしまいたい思いがヒシヒシと溢れでています。

相手の大家さんはゆったりした人なのか、忙しいのか、このメッセージのやり取りだけでも1日が経過。住所も値段もなかなか送られてこない。

スパムか?
こちとら時間がないんだ。
ハッキリしてくれ!!

※こちとら=江戸の方便

シェアハウス退出まで、あと6日。

焦る気持ちを抑え、待っていると、ようやく住所が書かれたメッセージが届きました。

「よしっ!今日の11時、ここに下見に行こう。」

旦那さんに運転をまかせ、一か八かでFacebookメッセージの人の賃貸見学へ。

余談ですが、タイニーハウスを決める前、コメントをくれたベトナム人おっちゃんの賃貸へ見学にいったことがありました。

そこは写真ではピンクのかわいい外観に、広くてキレイな室内が映しだされていて、かなりの破格。

しかし、見学に行くとその地域は治安が悪く、止まっている車もボロボロで歩いている人の身なりもボロボロ。

おまけにたくさんの人がすでに住み着いていて、「家の中で料理すると匂いが臭い。」と、先人住人の白人ヒッピーが言うからと、コンロが駐車場に設置されていました。

これは、大家さんと住人の立場が逆転してている、珍しいパターン。

しかもコンロの近くには、おっちゃんのペットらしきインコと、自然に飛んで住み着いたのであろう野生の5羽の鳩が飛び交っていました。

おっちゃん、私たちの目の前で鳩にエサを与えだしました。

バッサバサ、飛び交う、飛び交う。

超不衛生。(家に帰ってすぐ喉が痛くなりました)

肝心の部屋は、薄暗くて窓もなく、踏み入れると足がすぐにホコリまみれになり、ここではとても新生児を育てられないと感じるほど、おっちゃんが載せていた写真とは程遠い荒れ果てた状況でした。

でもおっちゃんはとっても優しそうな雰囲気の人だったし、私たちのことも随分気に入ってくれて住んでほしそうな感じでしたが『あそこに住むぐらいなら日本に帰ろう。』と、帰りの車内で旦那はいつものように冷静な判断をしてくれました。

アメリカに住みたい。

けど、大事にしていることを曲げてまでは住みたくない。

これが私たち夫婦が渡米してからどんどん強まっている思いです。

さて、Facebookでメッセージをくれた大家さんの賃貸見学の話に戻ります。

以前にそうした鳩のおっちゃんの不衛生賃貸を経験していたので、今回も期待半分で見学におとずれました。

どうせ写真と違ったり、大家がヤバいのかもしれない。

騙しに騙されつづけ、もう騙されたくないし、時間もない!と、少し性格がねじ曲がっていました。

そして、見学当日。

なんということでしょう・・・。

到着した場所には改装中のキレイな賃貸がズラッと3件ならび、中に入ると、壁紙、床、家電、すべて新品で揃えられているではありませんか。

さらに大家さんの雰囲気も◎。

余裕のあるゆったりとした動きと笑顔。ニコニコと、朗らかな印象です。

前回のタイニーハウスのBBAと比較すると、余計に輝いてみえます。

家賃も見学のときに教えてもらい、しかも予想より破格だったのです。

部屋の広さはワンルームで少し狭そうだったものの、日本で2年間、激狭物件に住んでいた私たち夫婦にとって気にならない狭さ。余裕でOK!

そして、もう他の賃貸を探している心の余裕も見学する時間もない。

ここに・・・決める?

旦那さんと話し合い、ここに決めることになりました。

「ウィーライクディスハウス。ウィーヲントディスレントハウス。プリーズ、シグネイチャー。」

(訳)私たちはこの賃貸が気に入りました。この賃貸を借りたい。署名したい。←契約したいと言いたかった

この記事を今までみていた読者さまはご存知の通り、アメリカでの個人貸しの賃貸には様々なリスクがあります。

でも、その反面メリットもあります。

その1つは、通常、必要とされるあらゆる《審査》がない場合が多いこと。

カリフォルニアは2022年以降、コロナ禍の影響も合わさり一気に物価が高騰しました。そして少しずつ賃貸料金が高騰。

アメリカ人の若者でさえ、シェアハウスから実家に戻って貯金をはじめるほどです。都会ではホームレスも増えました。

いろいろな人がいて、全員がアメリカのバシッと決められた厳しめの賃貸条件をクリアして借りれる訳がなく、そこに賃貸料金向上も合わさり、Facebookや他の誰でも閲覧、掲載できるサイトで審査なしの個人貸しが多発しているのです。

ちなみに今回のわたしの状況は、妊婦で産休中なので直近1〜2ヶ月の給料証明がだせないため、個人貸しのサイトを利用するに至りました。

個人貸しなので、鳩のおっちゃんの物件同様、きっと審査なくこのままスムーズに借りれるのだと安心しきっていました。

が、まだまだ壁は立ちはだかります。

「わかりました。メッセージで審査を送るので、手続きしてください。」

家を借りたいと伝えたところ、大家さんからそのように告げられました。

うわー、審査ありの個人賃貸だったのか。どんな審査内容だろう。

「OK!」内心、ドキドキしながら審査の案内を待つことにしました。

そしてその日に送られてきた審査サイトのチェック内容は、

◎逮捕歴・・・アメリカで捕まったことがあるか。
◎カードと賃貸・・・未払の借金があるか。賃貸支払いは遅れてないか。
◎退去歴・・・今まで大家に退去を命じられたことがあるか。

を調べられるサイトでした。

セーフ!!

産休中のわたしは、通常賃貸の審査に含まれる1〜2ヶ月前の給料証明は出せない状態でした。ので、今回の審査はセーフ。全部、大丈夫。

逮捕もされていない。カードも賃貸も。退去も、大丈夫。

このとき、シェアハウス退出期限5日前。

絶対に借りなくては!という思いを引っさげ、慎重に1つ1つの手続きをインターネットで進めていきました。

借りれるのか、ホームレス妊婦になるのか、最後の戦いがはじまりました。

続く

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