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渡米は突然に。4《俺、アメリカ行くから。》

前回の記事はこちら。


海老蔵とのお付き合いは、こうしてわたしの独断で、一瞬でおわった。

わたしは彼の何も知らない。強制的に、一方的におつきあいを終了させた。

これは彼ではなく、わたしに原因があることは痛感していた。

でも、もう恋愛で傷つきたくなかったし、LINEを交わした程度でこころが無理だと言っていた。

どうやら以前までの恋愛で負ったこころの傷の回復にはまだ時間がかかるようだ。

それからの30代と40代のおばさんおっさんの恋愛模様はあえて省略させていただくが(誰も興味がないと思うので)

わたしたちは再び付き合い直すことになり、約1年間、同性をしたのち、結婚。

そして出会って2年目に渡米をの夢を叶えることができた。

渡米のきっかけは突然やってきた。

「俺、アメリカ行くから。」


これは付き合って早々のころの話。突然、目の前の海老蔵がいい放った。

彼の家族構成、これまでの仕事、友達関係など、まだ付き合いたてでなにも知らない。

え?何言ってんの、このひと…。

すでに付き合いをすすめていて、適当に人生を過ごしたくなかったし、遊ばれて後悔もしたくもなかった。

だから付き合う前に「結婚を前提にしか付き合えない。赤ちゃんも将来希望している。」とまで勇気をだしてつたえていた。

こうした言葉を重いと感じる人もいるだろう。でも、この言葉を受け止められない人なら、もう関わりたくない。と思っていた。

海老蔵は、わたしのこの重い言葉も真剣にうけとめてくれた。

その時すでに30歳過ぎになっていて結婚も子供も諦めた状態だったが、海老蔵にであってから、少しずつ本来の気持ちをとりもどし、結婚も子供も再びチャレンジしようと思いなおせた時だった。

そしてすべては順調にすすむはずだった。

わたしはこれまでの人生をすべてクリアにして、海老蔵と結婚をして子供をつくって平和で穏やかな人生を歩むんだ。そう信じていた。

だから目の前で突然、想像外の言葉をいってのけた海老蔵に驚愕した。

同時に、悲しさや悔しさ、怒り、どう扱えばいいのかわからない、いろんな感情がおしよせた。海老蔵との付き合いを選んだのも、わたしだ。わたしにも責任と原因がある。

でも、あまりにもわけが分からない。が、なにも言い返せなかった。

「俺、アメリカに行くから。」といった海老蔵の目は真っ直ぐで、その心もすでに決まっているようだったから。

アメリカに行く予定だったらなぜわたしと付き合った?

あとから聞いた海老蔵の話では、渡米計画はわたしと出会う前からしていたらしい。

数年前にご両親をすでにアメリカにつれていき、知人のアメリカ在住者にもあって挨拶もすませていたとのこと。

当時、海老蔵は日本料理人をしていた。10数年ほど一流の旅館や高級ホテルなど日本各地で日本料理の修行をしたのち、自身のお店をオープンさせた海老蔵。(付き合って数カ月後にこの事実をしった)

海老蔵の生まれ持ったセンスとこれまで約20年間、培ってきたホンモノの技術で完成されたお店は瞬く間に知れわたり、海老蔵がオリジナルで考えたランチメニューはメディアで取り上げられ、大盛況。昼間は常に満席になり、芸能人も訪れる人気の隠れ家店へと成長した。

しかし、海老蔵は第二の人生(アメリカへ渡米)へ賭け、せっかく起動にのっていたお店を譲る準備をすすめ、前妻との住まいも売る用意をすすめていたらしい。

しかし、すべての準備をし終え、さぁアメリカに!というとき、日本中にコロナウイルスが蔓延。海老蔵の人生をかけたアメリカ計画は一旦停止となった。

お店の運営もできない状態になり、暇をもてあまして友人と毎日飲み歩いていたそう。そんなタイミングでわたしに出会った。

海老蔵は後先考えず、そのときの直感に従って動くことがある。

わたしと付き合うことも、アメリカも、今思うと同時に考えていなかったのだろうな〜と、海老蔵の性格をしった今では納得できる。

アメリカは、アメリカ。わたしは、わたし。海老蔵のなかでは別問題であったのだと思う。

ここまでの話を聞いて、日本の一般的な30代過ぎの結婚と子供をのぞむ女性なら、そんなよく分からない男に人生の時間はついやせない。と、キッパリ別れを選ぶのだと思う。(よっぽど愛していない限り)

実際、わたしも何度も別れるべきかを考えた。

周りの女性にも相談をしたりしたが、特にアメリカの話をすると「夢物語を語る男は信じてはいけない。」などと散々な意見がかえってきた。

当時、海老蔵との付き合いを心から応援してくれる人は誰ひとりいなかった。

だけどお付き合いをするのは2人であって、周りの意見は関係ない。

周りの人は海老蔵に会ったこともなかったし、それまで海老蔵がみせてくれていたすべてはわたしに向けてのもの。

最後に決断するのはわたしだ。と、海老蔵の真剣な表情や言葉を思い返し、最終的には彼を信じることにした。

遠距離になっても構わない。

将来どうなるかわからないが、彼を信じよう。

続く。


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