デンマーク・インターンシップ先での研究プロジェクトについて
こんにちは、Chisatoです。
デンマークは、日照時間こそだいぶ伸びてきましたが、まだまだ風の強い寒い日が続いております。
さて、私は現在、デンマークのコペンハーゲン大学の修士課程で学びを深めつつ、コペンハーゲンに拠点を置く、研究コンサルティング組織、「北欧研究所」で2023年9月よりインターンシップをしております。
北欧研究所に興味関心がある方は、研究所のNOTEをこちらからご覧いただけます。
活動の一環として、北欧研究所のインターン生は、各自関心のある分野で研究テーマを決め、インターン期間終了までに調査・論文の執筆をしています。
そこで今回の記事では、私の研究プロジェクトについてお話ししたいと思います🍀
私は、移民難民についてを専門分野としていますので、北欧研究所の研究プロジェクトはその中でも、「デンマークに在住する労働者移民」と「言語能力を肥やすデンマークの言語教育」について執筆しています。
少し具体的に述べますと、デンマークに住む労働者移民が、語学能力が壁となって、権利取得や雇用の場面でどんな影響を受けているのか(デンマーク語が分かる場合と比較して有利・不利な影響があるのか、あるとすればどのようなことか)、また、語学力を培うための語学教育の高さ(デンマーク人に対する外国語教育と移民に対する語学教育の両方の側面)が、移民の扱われ方にどのように関係しているのか、ということを考察しています。
デンマークでは、第二外国語として英語を話す国民は全体の86%と言われており (University of Copenhagen, 2023)、特に、コペンハーゲンやオーフスといった大都市に滞在する労働移民は、デンマーク語を習得せずに母国語または英語のみで生活している者も多いことが特徴にあります。
しかしながら、コミュニケーション能力をあまり必要としない職種(例えば運輸業や建設作業など)に携わる移民や、企業の駐在員として短期的にデンマークに滞在する移民がこのように生活することが可能である一方で、現地で現地の市民と同じスタート地点に立ち、権利や職を得ようとする移民にとって大きな壁となっているのは、まさに言語力であると考えています。
例えば、公的書類がデンマーク語のみの案内であったため得られるはずだった機会を見逃してしまったり、インターナショナルな職場でもデンマーク語が話せることを暗黙的に要求されていたり、いくら英語話者の多いデンマークだとしても、こういった場面にはいくらでも遭遇します。
そこで私は、このようなデンマークの実態調査のため、匿名でのインタビュー調査を行い、50人程度のデンマーク人やデンマークに住む移民から彼らの実際の経験や意見を集めて、これらを論文で考察しています。
しかし、この研究論文を通して私は、デンマークの移民がデンマーク語を習得すべきだとか、移民が市民と全く同等の権利を得られるべきだとか、決してそういった偏った意見を示したいのではありません。
デンマーク語の話以前に、移民だってそれぞれ異なった目的を持っていますし、デンマーク国民はデンマークに来たばっかりの移民よりもっともっと税金等を納めてきている人ばかりですので、国民の方が社会的な利益を多く得られるのだって納得できる部分が多いです。
私は、一般化して物事を判断したり意見を固めてしまえば、そこで思考が止まってしまうと思っています。
読者の皆様には、このような私の研究論文を、世の中で巻き起こっている事実の一部分として見ていただければ良いな、と思いながら執筆しております。
私の研究論文は6月末頃にもNOTEでの公開を試みる予定ですので、ぜひご覧いただけますと幸いです😊
それでは、また次回の記事で。
[参考ページ]
University of Copenhagen (2023). Danish Language. Retrieved 04/02/2024 from: https://ism.ku.dk/language-culture/language/#:~:text=Denmark%20has%20one%20official%20language,English%20as%20a%20second%20language