
「湯気の中の永遠」前編
シャワーの音が、静かな浴室に響いていた。
湯気に包まれた空間は、淡い灯りの中で揺らめき、硝子の向こうに滲む俺の影をぼやけさせる。
熱い湯が頭上から降り注ぎ、濡れた髪が背に張り付く感触が心地いい。
そのとき、背後でそっと水音が揺れた。
柔らかな腕がそっと俺の腰に回され、ぴたりと背中に小さな体が密着する。
まだ濡れていない肌が、俺の褐色の背にひんやりと吸い付くようだった。
「…みゆ?」
シャワーを止め、振り返る。
そこには、濡れた黒髪を肩にかけたみゆが、少し照れくさそうに微笑んでいた。
頬が湯気に染まってほんのり紅を差し、滴る水滴が小ぶりな胸の先をなぞる。
「びっくりした?」
みゆの声は、どこか甘えたように震えていた。
「…そっと入ってくるから」
俺が苦笑すると、みゆはいたずらっぽく唇を尖らせた。
「驚かせたかったんじゃなくて…こうしたかったの」
再び俺に寄り添い、細い腕が背を這う。
指先がゆっくりと肩甲骨をなぞり、俺の腰へと降りていく。
「…みゆ」
みゆの黒い瞳がまっすぐ俺を見つめる。
俺はその視線に吸い寄せられるように顔を近づけた。
小さな唇が触れる。
最初は軽く。
けれど、みゆが僅かに背伸びをすると、唇が重なり、濡れた吐息が絡み合った。
「ん…」
みゆの声が、喉の奥から洩れる。
肌を合わせるたびに、彼女の鼓動が指先を通じて伝わってくる。
シャワーの音が止まり、浴室は二人の微かな息遣いだけに包まれた。
「…今日は、少し積極的な気分みたいだな」
俺が囁くと、みゆは恥ずかしそうに頬を染め、けれど瞳の奥には強い熱を宿していた。
「…だって、お風呂って、気持ちいいから」
みゆの指が俺の胸元を滑り、静かに肌をなぞる。
そして、そのまま俺の首筋に腕を回し、再び唇を寄せてきた。
キスは次第に深く、濃密になっていく。
みゆの小ぶりな胸が俺の胸板に押し付けられ、柔らかな感触が伝わる。
俺はその温もりを確かめるように、そっと胸元へ手を伸ばした。
「…っ」
みゆの身体がぴくりと震え、微かな喘ぎが唇から漏れる。
俺の指先が、慎重に、けれど確実に彼女の敏感な部分をなぞるたび、みゆの息遣いが熱を帯びていった。
「…俺にも、触って」
そう言うと、みゆの手がそっと俺の一番敏感な部分に触れた。
「…ん、熱い…」
みゆの指が優しく包み込む。
最初は慎重に、そして次第に確かめるように。
「…気持ちいい?」
囁く声が震えているのは、俺の反応を感じ取っているからだろう。
「みゆが触ると、すごく…」
俺がそう言いかけると、みゆは恥ずかしそうに微笑み、そっと俺の腰を押した。
「…座って?」
浴槽の縁に腰掛けさせられると、みゆはそっと俺の脚の間に膝をつく。
「…してみたかったの」
唇が、熱を帯びた部分に触れた。
みゆの口内は、湯よりもずっと熱く、柔らかかった。
「ん…っ、んん…」
時折、みゆは自分の内腿を擦り合わせるようにしながら、徐々に大胆になっていく。
「…俺、もう…」
俺の言葉に、みゆは顔を上げた。
瞳は熱を帯び、頬は桃色に染まっている。
「…もう、いいの」
みゆは静かに立ち上がり、俺の腰にまたがると、そっと自らを導いた。
「…っ、ぁ…」
みゆの身体が俺を受け入れていく。
「…すごい、こんな…」
俺の肩にしがみつきながら、みゆは声を震わせる。
繋がる感触に、俺の理性が溶けていった。
みゆが主導するまま、俺はその細い腰を両手で支えながら、ゆっくりと動きを合わせた。
「…っ、気持ち、いい…」
俺に身を預けながら、みゆは切なげに唇を震わせる。
それから、後ろから、そして再び正面へと繋がる。
「…好き、すごく、好き…」
「俺も…みゆが愛おしい」
深いキスを交わしながら、俺はみゆの胸元を愛撫し、彼女の奥深くへと沈んでいく。
「…っ、いく、俺…」
俺の言葉に、みゆは腕を回し、しがみついた。
そして——
「…ぁぁっ…」
俺のすべてを、みゆの中へと解き放った。
みゆの鼓動が、俺のそれと重なり、熱が静かに満ちていった。
——それでも、まだ。
みゆは物足りなさを感じていた。
浴槽の中で、みゆの手が俺を愛撫し続ける。
そして、俺の身体が再び熱を帯び始めると、みゆはそっと唇を寄せ、密着したまま囁いた。
「…もっと、欲しいの」
——自分のすべてで、俺を受け入れたい。
俺は、みゆの願いを、すべて受け止めることにした——。
(続く)
作者あとがき
続くシーンはさらに、激しい内容にチャレンジしました。
近日公開予定ですので是非ご覧ください。
感想などいただけると嬉しいです。
未熟ではありますが、こんなシチュエーションのモノが
読みたいなどご希望にもチャレンジしたいです。
Xも使っているのでよろしくお願いいたします。
Chileactor